久しぶりの更新。すっかり無精になっていたが、新年度になったことでもあり、また再開しよう。匿名の方を含む何人かの方から最近更新がなくて残念だ、という声もあった。
今回は最終的には、ある手ぬぐいを紹介するが、その前に比較的最近の研究成果を紹介する。
図1 試験管内でのプリオン線維(白い棒の長さ:50nm) |
プリオンはアミロイド線維(蛋白質が分子間で強固なβシートを作って形成される凝集体の一種)である。酵母プリオンの一つSup35蛋白質を精製して線維を形成させると図1に示すようにきれいな線維(ファイバー)ができる。直径はおよそ10-20nm程度だ(Kishimoto A. et al BBRC 2004)。
この図1は試験管内で作った線維である。では、プリオン化した酵母の細胞内でSup35はどのような構造をしているのだろうか。
このブログを始めた2006年頃のエントリー「マリモとプリオン」の最後には次のように書いた。
(注)細胞内でプリオンの存在状態というのは案外わかっておらず、試験管内で作るとできるきれいな線維と細胞内プリオンの実体の関係はまだよくわかっていない。(2006/09/26「マリモとプリオン」)
その後いくつかの共同研究が実り、酵母細胞内でのプリオン線維を電子顕微鏡で観察することができた。典型的な電顕写真は図2右だ(Kawai-Noma, S. et al. J. Cell Biol. 2010)。球状の集合体の中にきれいに並んだ線維が寄せ集まっているようすが明確であった。
図2.酵母細胞内でのプリオン線維の集合体(左:細胞全体、右:左の赤枠を拡大) |
これらの線維のイメージが頭にあるのを受けて見つけたのが次の手ぬぐいの紋様である。成田空港で海外への訪問先のお土産を探しているときに見つけたが自分用とした。
研究にちなむと、線維同士がどのような相互作用で束になっているのかはまだわからない。
さらに言えば、このように線維の束が並んで球状の凝集になっているのは特殊な状態のようだ。実際には下図のように、ちぎれた短い線維が細胞内をうようよしていて、それが増殖しながら娘細胞に伝わると考えている(Taguchi and Kawai-Noma FEBS J. 2010)。その短い線維を可視化したり、動態を調べるのが現在の目標の一つだ。
酵母細胞内でのプリオン線維のようすの模式図 |
(2013 4/6にアップしたが、なぜかこのエントリーだけ消えたので再掲載)
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