2009/01/10

オワンクラゲ

 GFPについて11/6に少し書いて、それは次のネタへの伏線・・・と書いた後、更新をさぼっていた。


 GFPがオワンクラゲ由来であることはノーベル賞受賞の下村博士のおかげで多くの一般の人にまで知られるようになった。しかし、実際にそのクラゲを見たことがある人は少ない、というよりほとんどいないだろう。そもそもオワンクラゲを見ることができる場所がほとんどない。

 日本で見ることができるのは、山形県鶴岡市の加茂水族館である。加茂水族館はそれほど大きな水族館ではないが、クラゲの展示数が世界一多いことで知られている。
 で、先日(と言ってももう10月下旬)、慶応大学の鶴岡キャンパス(山形県)に共同研究で行く用事があったので、そのついでに加茂水族館に立ち寄ってきた。オワンクラゲを一目見たいと思ったのだ。
 
 30種類以上のクラゲが展示されているとあって、クラゲの展示は圧巻である。オワンクラゲの展示に到達する前に種々の美しい
クラゲがゆらりゆらりと動く姿に見とれて歩いていくとオワンクラゲがいた。展示自体は他の水槽と同じ大きさで特別扱いはなかったが、説明には下村博士のノーベル賞受賞について触れられていた。
 クラゲ全般に言えるのだが、ゆったり動くさまを見ていると実に癒やされるのでデジカメ動画も載せることにします。


 他に展示されているクラゲ全体を見渡すと、オワンクラゲは割と地味かな、というのが第一印象だ。例えば、ツリガネクラゲなど見ていて飽きないほどである。タコクラゲもおもしろい。
 




 


 以下は余談。

 ぼくの研究室では以前より精製したGFPをときおり扱ってい
て、このサイトでも写真で試験管に入った緑に光るGFPを紹介し
ている。加茂水族館に立ち寄る数日前には大学の一般公開があり、そこでGFPを見せたところだったこともあり、このGFPを加茂水族館に寄贈してきた。水族館の方々はオワンクラゲは見慣れていてもノーベル賞のGFPは見たことがないだろう、と思ったからだ。突然の訪問で特に連絡をしていたわけではなく、受付の方に名刺と共にGFPの入ったチューブを数本託してすぐに帰ったのだが、ほどなく、館長さんより直々に電話をいただいた。館長さんにはたいへん感激していただき、寄贈したGFPは、すぐに水族館に展示されたそうだ。この寄贈GFPの話しはニュースにもなったということで面はゆいが多くの方に美しいGFPを生で見てもらえてうれしい限りである。

 
おまけとしては、この水族館はクラゲを最大の売りにしていておみ
やげもクラゲグッズが充実しているし、さらには、クラゲ料理も多数準備されている。その名もクラゲレストラン! 行った時間はお昼を食べたあとで、しかもあまり時間がなかったので何も食べなかったが、次に行くことがあったら、海月(くらげ)ラーメン、クラゲ定食、クラゲアイスをぜひ食してみよう。




2009/01/03

光学異性ペン(左利き用ペン)


 ウェブだけ読んでいる人には知るよしもないが、根っからの左利きである。左利きの人でも、字を書いたり、箸を持つのは右、という人が少なくないが、ぼくはどちらも左だ。

 左利き関連の本やグッズにはふだんから興味ある。いっとき、左利きは早死にする、なんて説がきちんとした学術論文として載ったりしたが、そんな話題にもアンテナを張ってはいる(早死説は気になるところだが、反論もあるようだ。ちなみに、早死説の理由は、左利きはいろんなところでストレスがあったり、事故に遭う確率が高い、ということらしい)。あと、教員として試験監督を行うことがたまにあるが、そんなときに秘かに行っているのは左利き調査だったりする。最近は少しは多くなったのかと思いきや、せいぜい5%というところだろうか。



 前置きはこのくらいにして、ここに紹介するのは左利き用のペンである。ふつうのペンや鉛筆には左も右もないが、こいつは少し凝っていて、人差し指と親指がはまる位置にくぼみがあり、それが左利き用と右利き用を分けている。鏡に写すと右利き用のになるということで、有機化学で言うところの「光学異性」というわけだ。

 ペンの写真だけでは少しわかりにくいかもしれないので実際にペンを持った写真を載せてみる。左で持ったときにはくぼみがピタッとはまるのがわかるだろうか。それに対して、右手で持ったときの写真では人差し指はくぼみにはまっているが、親指がはまっていない。

 書き心地はまずまずかな。少し太めなのでサインを書くようなときにちょうどよい感じだ。 デザインや色合いも秀逸で、最初はそこにピンと来て手に取ってみようとしたら左利きと右利き用があるということに気付いた。ちなみにドイツ製(stabilo.com)。


 左利きグッズで思い出すのは、学生時代に初めて行ったアメリカで、左利き専門のお店をたまたま見つけたときのことだ。こんな店があるんだ、とうれしくなり、小さい店だがくまなく楽しませてもらった。欧米には左利きの人が多いから(というより矯正されないからだと思うが)マーケットとして成り立つのだろうか。  そこでは、左利き用ハサミなるものを購入した。ハサミの刃の付き方も「光学異性」の関係にある。他にもナイフなんかに左だと切りにくいものがあったり、お茶を入れる際の急須も左ではまともに使えない代物だったりするのは右利きの人には知らない世界だろう。

 さて、良い物を買った、と帰国して使ってみたところ・・・、なんとまっすぐに切れない、のだ。左利き用なのに何事か、と思って考察した結果は次のようなものだ。 本来なら使いにくいはずの右利き用の道具なのだが、それに順応してしまっているので、左利き用でもふつうの右利き用の手の動きをしてしまってうまく切れない。

 何とも面倒なことだ。 左利き用ハサミは以来全然使っていない・・・。