2012/03/30

細胞内のようすのイラスト・動画

このブログの自己紹介欄で、

「タンパク質が細胞内で活躍しているようすを個別にのぞくことで細胞内タンパク質ワールドを理解していきたい」

と書いているが、実際の細胞内でのタンパク質の世界はどのようなイメージなのであろうか。もちろんミクロやナノの世界なのでそのまま見ることはできない。しかし、今までの生化学的な知見(タンパク質濃度など)やタンパク質などの立体構造情報などを元に再現することは可能である。これに関してよく知られているのがDavid Goodsell博士(Scripps研究所、米国サンジエゴ)のイラストであろう。自分の研究発表のイントロでもよく使わせてもらっている。

例えば、大腸菌の中はこんな感じ(ネットに載せるにあたりGoodsell博士から許可取得済み)。タンパク質を含む生体高分子がひしめいているようすが実感としてわかるであろう。


© David S. Goodsell 1999.

個々のパーツは正確な構造情報を元に描かれている。紫色はリボソーム複合体。サイズはだいたい20nm程度だ。リボソームにくっついている細くて白いヒモは メッセンジャーRNA(mRNA)。青は他のタンパク質たちだが、右の方には、シャペロニンGroELとGroESも登場していてちょうど新生タンパク質を閉じ込めようとしている 瞬間を捉えている。黄色とオレンジは核様体部分(細いヒモはDNA)、というように観てきたかのようにリアルに描かれている。

他にも、Goodsellは思わず引き込まれるイラストを多数描いており、以下のサイトにて鑑賞可能である。
Molecular Art | Molecular Science Home of David S. Goodsell


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さて、Goodsell氏のイラストは静止画であるが、実際の細胞内の分子は動的であり、タンパク質をはじめとする生体高分子が「うごめいて」いる。この細胞内動態の研究はまだまだこれからであり、自分たちでも追究しているが、計算によるシミュレーションで細胞内を再現しようという試みがある。昨年の海外出張で知り合ったElcock博士がYoutubeに投稿している動画を貼り付けよう(実際の原論文はPLoS Comput Biol. 2010)。


Youtube "Cytoplasm Full Energy Model" by Adrian Elcock et al.

この動画はかなり印象深いものである。実際、自分のプレゼンテーション時にこの動画を見せたあとにはほぼ必ず「あの動画はどこでもってこれるのか」と聞かれるほどだ。


2012/03/22

ニュースレター第8号(最終号)発行

編集が遅れていたニュースレターの第8号がついに完成し、購読者の方々には既にお手元に冊子が届いているころと思う。(→ニュースレターサイト


このニュースレターの母体である科研費特定領域研究「タンパク質の社会」は今年度で終了のため、この号をもって最終号となる。

以下、「編集後記」よりの抜粋。

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昨秋発行予定の号の分も原稿はいただいてきたので、本号は今までのちょうど2倍のボリュームとなり、読み応えが一層増した号になると思います。それもこれも、原稿を書いていただいた方々のおかげです。誠に感謝いたします。ただでさえ、みなさんお忙しいところに余分な仕事を増やすことにいつも恐縮しながらも、「断れない」依頼をさせていただきました。

特集も盛りだくさんで、大物インタビューもBukauとLippincott-Schwartzと一挙2本掲載です(取りまとめはいつも以上にたいへんでしたが・・・)。特に、Jennifer Lippincott-Schwartzさんには本当にいっぱい語ってもらい、誌上に載せたのは実は半分以下です。ゴルジ体論争について実名入りで話してもらった内容の多くは割愛させていただきましたが、実はそこが一番エキサイティングだったし、聞き手もノリノリだったかもしれません(笑) 興味のある方は聞き手にお尋ねください。

さて、最終号ということでホッとしていますが、これで終わりかと思うと少し寂しいのも正直なところです。編集長に抜擢していただき、編集業者の選定から始めて、ここまで8号も出せたのは本当に良かったと思います。編集の追い込み時はかなりな時間を割いていますが、できあがると非常に充実感がありますし、編集長特権で知り合えた方も多々います。思いがけない方から「おもしろかった」「いつも楽しみにしています」などと言われるのもうれしいものです。

ということで、ここまでお読みいただきありがとうございました。
機会があればまたどこかでお会いいたしましょう!

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ということで、ニュースレターに書いてきたようなコラムネタは以後、このブログにて紹介していこう。

興味ある方は、ぜひpdfパスワードの請求を。(事務局メールアドレス→protein.community@gmail.com

このブログにたどり着き、どんなニュースレターか知らないが興味ある方は、目次だけでもどうぞ。パスワード無しで見ることできます(pc7_contents.pdf)。