2006/09/24

パズル(2) シャペロニンのかご

 パズルの第2弾は、シャペロニンの「かご」を模した(?)パズルである。シャペロニンとはタンパク質のフォールディングを助けるシャペロンというタンパク質であるが、その構造自体がとてもユニークで内部に4〜5nm幅の空洞がぽっかりとあいている。かごのメインはGroELという大きなシャペロニンタンパク質で変性タンパク質を捕らえることができる。そこにGroESというフタがATP依存で結合すると、変性タンパク質が中に閉じ込められ、その内部でフォールディングが最後まで進行する。問題はどうやって内部で戻ったタンパク質を外に出すかであるが、現実のシャペロニンではATPがもう一度使われるのである(詳細は田口の総説など参照)。

で、パズルであるが、かごの中に閉じ込められた星を外に取り出す、というものだ。閉じ込められた星はけっこう大きいのではたしてどうやって取り出すか。この写真からはわからないが、やってみるとけっこう簡単である。




実際のシャペロニン(GroEL-GroES)複合体にタンパク質が閉じ込められたようすのシミュレーション図も載せてみる(Sakikawa, et al., JBC, 1999)。ここで使っているのは実験的に閉じ込めが起こることがわかっている約54kDのタンパク質(BFP-GFP融合物)であるが、けっこうきつきつだ。現実のシャペロニンの空洞の中でフォールディングがどうやって起こるのか、シャペロニンがフォールディングそのものに影響を与えるのかは、まだ議論が多いシャペロニン研究のフロンティアである。

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