今回紹介するのは、めずらしくプリオン(アミロイド)線維もどきのおもちゃである。
小っちゃな積み木。一番長いところで3cmくらいである。
どうプリオン線維に似ているかというと、
こんな風に並べてみる。
これが、とある酵母プリオンの論文 (DePace AH et al, Cell 93, 1241, 1998)の中のプリオンの模式図にそっくり。見てもらえば一目瞭然である。
ほぼ同じ形である。
ここでこの積み木から連想する酵母プリオン研究の謎の一つを。
狂牛病のプリオン蛋白質は今のところPrP一種類しか知られていないが、出芽酵母(パン酵母)では十種類以上のプリオン蛋白質が既に見つかっている。しかも、おもしろいことに、機能もアミノ酸配列もちがう酵母プリオンはお互いに関係し合っているのである。
「関係しあっている」というのは、たとえばA, Bというプリオン蛋白質があったとき、Aがプリオン状態になっているとBもプリオン状態になりやすい、その逆もある、というような相関関係だ。
そのメカニズムとして、異種間のプリオン線維がつながるというモデルがある。それが、上の写真で言えば、色違いのファイバーである。
実際には、酵母プリオンがプリオン状態になるには、シャペロン(Hsp104など)も必須なので事はそれほど単純ではないようだが、プリオンの増殖機構を考えるときに大切な知見であることにはまちがいない。
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