シャペロンはタンパク質のフォールディングを助ける。
ただ、多数あるシャペロンがどのタンパク質のフォールディングでも助けるかというとそういうことはない。何らかの「好み」があるらしいが、よくわかってない部分である。
そこで、あるシャペロンがどのようなタンパク質に効果を発揮するかを調べるのが最近の研究の流れの一つとなっている。
たとえば、細胞(大腸菌)内でシャペロンがどのようなタンパク質を助けているのか、つまりシャペロンの基質タンパク質探索、については我々もシャペロニンGroELにて60個弱のGroEL基質タンパク質を2010年に同定している(Fujiwara et al., EMBO Journal, 2010、Full Text(Free)、日本語解説)。
前置きが長くなったが、最近我々が論文にした内容を紹介したい。
800種もの凝集しやすいタンパク質についてGroELやDnaKなどの主要シャペロンがどのように効果を持つかの網羅解析を試験管内で行ったのである。
以下、「タンパク質の社会」ウェブサイトに解説を書いたのでここに転載する。
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分子シャペロンが多数の不溶性タンパク質の折れたたみを助けることを実証
"Global Analysis of Chaperone Effects Using a Reconstituted Cell-Free Translation System"
Tatsuya Niwa, Takashi Kanamori, *Takuya Ueda and *Hideki Taguchi
Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 2012, 109, 8937-8942
概要
上田教授らが開発した特殊な試験管内タンパク質合成手法(PUREシステム)を利用することで、約800種類もの水に溶けにくいタンパク質のほとんどが大腸菌の主要シャペロン2種類(GroEL、DnaK)のどちらかによって溶けるようになること、Trigger Factorというもう一つのシャペロンを加えた3種のシャペロンを同時に作用させるとほぼすべての溶けにくいタンパク質が溶けるようになることが明らかとなりました。
この実験から得られた大規模データセットは、細胞の中で働くシャペロンタンパク質の作用機構の解明だけでなく、扱いが困難だったタンパク質を扱いやすくする手法の開発にもつながり、バイオ医薬品開発などにおけるタンパク質の応用利用などにも貢献しうるものです。
→ より詳細な説明(日本語)を読む
→ 原論文を読む(Abstract、Full Text)
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