箱根に行く機会があった。箱根の伝統工芸として寄木細工がよく知られている。とあるギフトショップにて発見したのが写真の寄木細工キーホルダー。何に見立てるかというと、プリオンである。
プリオンはタンパク質性の感染因子と定義されていて、概念を説明するときには下のような図を使っている。簡単に説明しておこう。
よく知られているクロイツフェルトヤコブ病、狂牛病などのプリオン病の研究から、タンパク質の立体構造の異常が増殖していく現象が見つかった。プリオンは、タンパク質(の異常構造)が自己増殖するという点でタンパク質科学の常識を破る概念であるが、今では出芽酵母などにも多数プリオン的な挙動をするタンパク質が発見されている。
この概念図の赤い矢印のような形で示したのがプリオンである。丸い緑の正常型が構造変換すると分子間で規則的に結合していき結果として線維状タンパク質となる。この線維(アミロイド線維)が伸びるときには方向性がある、という結果を以前示したこともあり(Inoue, Y., et al. J. Biol. Chem. 2001)、矢印でベクトルを示したわけである。
前置きが長くなったが、上で紹介した寄木細工のキーホルダーを見て、思わず「プリオンだ!」となったわけである。アミロイド研究者なら、これをアミロイドと見立てるかもしれない(実際、プリオンとアミロイドの境界は明確ではなく、最近の知見では「プリオン=増殖しやすいアミロイド」というようになってきている)。
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