2012/08/25

正12面体パズル Mind Jewel(ミュンヘン2)

 ミュンヘン出張でのパズル第二弾は、右の写真のような立体パズルである。Mind Jewelというらしい。

 プラスチック製のカラフルな正12面体の立体を崩したものを元に戻すという点では、前回のスネークパズルと同様のパズルである。

 
 崩してそのままの状態だと元に戻すのは思いのほか簡単。というのも、そのままだと元に戻す経路が一通りなので、ほとんど迷わなくてもいいからである。ラボに置いておいたら、スネークパズルに手こずっている学生が「これは簡単でいいですね!」と。

 しかし、実は難しくできるのだ。以下の図のように、正五面体のパーツをつなぐヒモが複数の辺にまたがっている部分がある。つまり、ヒモの位置をずらすことにより、経路が一筋縄ではいかなくなるのだ。

from Jaap's Puzzle page (http://www.jaapsch.net/puzzles/mindjewel.htm)


 実際、ヒモの位置を適当にずらしてバラしてラボに置いておいたら、しばらくは完成していなかった(が、完成は時間の問題)。
(ちなみにこの図の出典であるJaap's Puzzle pageでは、このMinde Jewellの経路の数を計算したりしているだけでなく、膨大な数のな立体パズルについてびっくりするぐらいの考察をしている。→たとえば、スネークパズル

 Youtubeでの動画も発見した。これを見るとパズル組み立てのイメージが理解できるであろう。

 
ということでレパートリーが一つ増えた。このパズルはミュンヘンにあるドイツ博物館というすばらしい科学博物館のショップで購入した。







2012/08/18

フォールディングパズルを新調(ミュンヘン1)

 7月にミュンヘンに行ってきた。ドイツでのシャペロンやタンパク質輸送関連のミーティング(SFB594)に招待されたのだ。この会議はバイエルン科学アカデミー主催であり、会場はミュンヘン観光のハイライトの一つレジデンツの一角とでもいうべき由緒正しい建物で開催された。ビアホールで有名なホフブロイハウスやマリエン広場へも徒歩10分くらいの絶好の場所である(実際、夕食の一回は招待者全員でホフブロイハウスへ)。

 実は、このミーティングには約10年前にも出席したことがあり(ポスター発表)、そのときマリエン広場で重要なモノを入手した。タンパク質のフォールディングを模したパズルとしてよく使っている「スネークパズル」である(右図の木製パズル)。本ブログの記念すべきパズル第一弾でもある(→パズル1)。
 このスネークパズル、その後いろんな色のをそろえたりもして(経路もいろいろ!→経路の違うフォールディングパズル)充実してきたのであるが、「初代」のはあまりに使い込みすぎて汚れが目立ってきた。「初代 」を購入したのと同じ店があればまた入手できるかと思い、会議のあとにマリエン広場付近の木製品ショップを再訪したところ、あったあった。



 「初代」と同じ大きさのモデルは売ってなく、「初代」より一回り大きいのと(写真右)、ずっと小さいのが売っていたので、小さい方は大人買い。 これでしばらくはきれいなフォールディングパズルを楽しめるだけでなく、「凝集」状態を実際のパズルだけで実現することも簡単にできるようになった。

このミュンヘン出張では他にも本ブログにもってこいのネタができた。
いつものように海外出張に行くとネタが増える。
 

2012/08/14

柔らかくて透明なタンパク質模型(2)

 (以下つづき)


 実はこの模型については今年初めの構造生命科学のシンポジウムで郷通子さんが紹介しているのを見て「へぇ〜」と思ったのが最初である。その後、2月の神戸出張の際、川上さんから直々に実物を見せてもらって感動し、その後試作品を川上さん経由で作ってもらって自分でいくつか持ってもいる。持っているのはリゾチーム、リボヌクレアーゼと阻害剤タンパク質の複合体(1dfj)。本当はGroEL、GroESも川上さんはもっており、それがほしかったが、分子量6万のGroELサブユニットを14個作るのはたいへんすぎるので断念した。以下のyoutubeでGroEL/ES複合体をばらすようすを見ることもできる。(写真、youtubeは川上さんより提供)


  もっと早く紹介したかったが、論文が公開されてからお願いします、ということだったので今になったが、今後宣伝していきたいと思う。

 川上さんにパズルを作ったらどうだ、とコメントしたところ、既にできている、ということであった。


 

柔らかくて透明なタンパク質模型(1)

 本ブログではタンパク質のおもしろさを伝えたい、ということで、これまでタンパク質もどきのパズル、おもちゃ、グッズなどをいろいろと紹介してきた。


 共通に流れるコンセプトは「タンパク質はかたちが命 」ということでタンパク質の立体構造や折れたたみ(フォールディング)を連想させるモノをピックアップしてきたが、いずれも当然本物のタンパク質の立体構造よりはシンプルなモノである。 実際のタンパク質をもう少しリアルに実感してもらうには2次元画像でのタンパク質表示(例えば右図。シャペロニンGroEL/ES複合体)がせいぜいであり、手に取って「実感」してもらうわけにはいかない。

 そのような中で、タンパク質のリアルな模型が登場した。北陸先端大の川上勝さんが3D印刷技術を使って実現したタンパク質模型である。これこそ、タンパク質を「手に取って」眺めて触ることができる。


 主鎖のヘリックスなどに側鎖部分が透明なシリコンで肉付けされている。実際に手に取るとぶよぶよしているし、手で「構造変化」をさせることも可能である。複合体では、実際のコンタクト部位に磁石が取り付けてあって、カチッと複合体を形成することもでき、よく考えられた模型となっている。

 質感などは以下のyoutube動画を見てもらうのがよいかと思う。


 作成方法や他の詳細は、先週公開された原著論文(Rev. Sci. Instrum.)、論文公開に合わせて北陸先端大からプレスリリースされた資料をみてほしい。

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(2)に続く→こちら

2012/07/09

eSOLデータベースにシャペロン効果の網羅解析も追加

以下のエントリーに書いたシャペロン効果の網羅解析には全データをワークシートにまとめたサプリメントデータがあるので全体を解析したい方はぜひダウンロードを。

さらに、以前の大腸菌タンパク質の凝集形成の網羅解析(Niwa et al, PNAS 2009,解説論文pdf)の際に作ってもらったデータベース(eSOL: Solubility database of all E.coli proteins)にシャペロンのデータも追加してもらった。

http://www.tanpaku.org/tp-esol/

インターフェースも大幅に改善されてさらに使いやすくなったのでこちらも活用してほしい。

以下、このデータベースに関する解説の転載

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この実験で得られたデータセット(約800個×3種のシャペロンの効果)は、シャペロンの作用機構の詳細な解析や、タンパク質一般に広く通用する凝集になりやすいタンパク質の可溶化手法の確立に向けた研究に役立つことが期待されます。タンパク質の可溶化法の一般則が見いだされれば、抗体医薬などの創薬やタンパク質の工業的利用などの分野に非常に有用な知見となります。
本研究で得られたデータセットはパブリックデータベースとして一般に公開されており、大学、企業を問わずタンパク質を用いた基礎研究・応用研究に広く利用されることが期待されます。

データベースの名称:eSOLデータベース
http://tp-esol.genes.nig.ac.jp/

eSOLデータベースは国立遺伝学研究所の菅原秀明教授らによって作成、運営されています。
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2012/07/08

シャペロン効果の網羅解析

シャペロンはタンパク質のフォールディングを助ける。

ただ、多数あるシャペロンがどのタンパク質のフォールディングでも助けるかというとそういうことはない。何らかの「好み」があるらしいが、よくわかってない部分である。
そこで、あるシャペロンがどのようなタンパク質に効果を発揮するかを調べるのが最近の研究の流れの一つとなっている。
たとえば、細胞(大腸菌)内でシャペロンがどのようなタンパク質を助けているのか、つまりシャペロンの基質タンパク質探索、については我々もシャペロニンGroELにて60個弱のGroEL基質タンパク質を2010年に同定している(Fujiwara et al., EMBO Journal, 2010、Full Text(Free)日本語解説)。

前置きが長くなったが、最近我々が論文にした内容を紹介したい。
800種もの凝集しやすいタンパク質についてGroELやDnaKなどの主要シャペロンがどのように効果を持つかの網羅解析を試験管内で行ったのである。

以下、「タンパク質の社会」ウェブサイトに解説を書いたのでここに転載する。

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分子シャペロンが多数の不溶性タンパク質の折れたたみを助けることを実証

"Global Analysis of Chaperone Effects Using a Reconstituted Cell-Free Translation System"
Tatsuya Niwa, Takashi Kanamori, *Takuya Ueda and *Hideki Taguchi
Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 2012, 109, 8937-8942

概要

東京工業大学大学院生命理工学研究科の田口英樹教授ら、東京大学大学院新領域創成科学研究科の上田卓也教授らは、細胞内でタンパク質のフォールディング(立体構造形成)を助ける「分子シャペロン」というタンパク質の効果を網羅的に調べ、細胞内でシャペロンが助けるタンパク質のフォールディングの全体像を試験管内で再現しました。

上田教授らが開発した特殊な試験管内タンパク質合成手法(PUREシステム)を利用することで、約800種類もの水に溶けにくいタンパク質のほとんどが大腸菌の主要シャペロン2種類(GroEL、DnaK)のどちらかによって溶けるようになること、Trigger Factorというもう一つのシャペロンを加えた3種のシャペロンを同時に作用させるとほぼすべての溶けにくいタンパク質が溶けるようになることが明らかとなりました。

この実験から得られた大規模データセットは、細胞の中で働くシャペロンタンパク質の作用機構の解明だけでなく、扱いが困難だったタンパク質を扱いやすくする手法の開発にもつながり、バイオ医薬品開発などにおけるタンパク質の応用利用などにも貢献しうるものです。



→ より詳細な説明(日本語)を読む
→ 原論文を読む(AbstractFull Text




2012/04/21

ニュースレターのコラム記事をHPに追加


科研費特定領域のニュースレター「Protein Community」(8号で終了)の空きスペースにコラムや書評など載せている。

最近のコラムについて田口ラボのウェブに載せた。→ ニュースレターのコラム

・書評「生命の謎はタンパク質で読み解ける(白木賢太郎著)」
・コラム「オンラインゲームFolditから生まれたNature論文」
・コラム「GroEL論争その後」
・コラム「蛋白質核酸酵素の後継?新着論文レビューサイトの紹介」
・書評「Physical Biology of the Cell」
・書評「なぜなぜ生物学(日本分子生物学会編)」
・コラム「PubMed検索 キーワード盛衰2012」
・書評「細胞が自分を食べるオートファジーの謎(水島昇著)」
 



2012/04/13

新しいメンバー

4月になり新人5人(M1一人、卒研生4人)が入ってくれた。メンバーの約3分の1が入れ替わったことになる。

 毎春恒例の桜の中の記念撮影を終え、HPのメンバー欄を更新した。

2012/03/30

細胞内のようすのイラスト・動画

このブログの自己紹介欄で、

「タンパク質が細胞内で活躍しているようすを個別にのぞくことで細胞内タンパク質ワールドを理解していきたい」

と書いているが、実際の細胞内でのタンパク質の世界はどのようなイメージなのであろうか。もちろんミクロやナノの世界なのでそのまま見ることはできない。しかし、今までの生化学的な知見(タンパク質濃度など)やタンパク質などの立体構造情報などを元に再現することは可能である。これに関してよく知られているのがDavid Goodsell博士(Scripps研究所、米国サンジエゴ)のイラストであろう。自分の研究発表のイントロでもよく使わせてもらっている。

例えば、大腸菌の中はこんな感じ(ネットに載せるにあたりGoodsell博士から許可取得済み)。タンパク質を含む生体高分子がひしめいているようすが実感としてわかるであろう。


© David S. Goodsell 1999.

個々のパーツは正確な構造情報を元に描かれている。紫色はリボソーム複合体。サイズはだいたい20nm程度だ。リボソームにくっついている細くて白いヒモは メッセンジャーRNA(mRNA)。青は他のタンパク質たちだが、右の方には、シャペロニンGroELとGroESも登場していてちょうど新生タンパク質を閉じ込めようとしている 瞬間を捉えている。黄色とオレンジは核様体部分(細いヒモはDNA)、というように観てきたかのようにリアルに描かれている。

他にも、Goodsellは思わず引き込まれるイラストを多数描いており、以下のサイトにて鑑賞可能である。
Molecular Art | Molecular Science Home of David S. Goodsell


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さて、Goodsell氏のイラストは静止画であるが、実際の細胞内の分子は動的であり、タンパク質をはじめとする生体高分子が「うごめいて」いる。この細胞内動態の研究はまだまだこれからであり、自分たちでも追究しているが、計算によるシミュレーションで細胞内を再現しようという試みがある。昨年の海外出張で知り合ったElcock博士がYoutubeに投稿している動画を貼り付けよう(実際の原論文はPLoS Comput Biol. 2010)。


Youtube "Cytoplasm Full Energy Model" by Adrian Elcock et al.

この動画はかなり印象深いものである。実際、自分のプレゼンテーション時にこの動画を見せたあとにはほぼ必ず「あの動画はどこでもってこれるのか」と聞かれるほどだ。


2012/03/22

ニュースレター第8号(最終号)発行

編集が遅れていたニュースレターの第8号がついに完成し、購読者の方々には既にお手元に冊子が届いているころと思う。(→ニュースレターサイト


このニュースレターの母体である科研費特定領域研究「タンパク質の社会」は今年度で終了のため、この号をもって最終号となる。

以下、「編集後記」よりの抜粋。

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昨秋発行予定の号の分も原稿はいただいてきたので、本号は今までのちょうど2倍のボリュームとなり、読み応えが一層増した号になると思います。それもこれも、原稿を書いていただいた方々のおかげです。誠に感謝いたします。ただでさえ、みなさんお忙しいところに余分な仕事を増やすことにいつも恐縮しながらも、「断れない」依頼をさせていただきました。

特集も盛りだくさんで、大物インタビューもBukauとLippincott-Schwartzと一挙2本掲載です(取りまとめはいつも以上にたいへんでしたが・・・)。特に、Jennifer Lippincott-Schwartzさんには本当にいっぱい語ってもらい、誌上に載せたのは実は半分以下です。ゴルジ体論争について実名入りで話してもらった内容の多くは割愛させていただきましたが、実はそこが一番エキサイティングだったし、聞き手もノリノリだったかもしれません(笑) 興味のある方は聞き手にお尋ねください。

さて、最終号ということでホッとしていますが、これで終わりかと思うと少し寂しいのも正直なところです。編集長に抜擢していただき、編集業者の選定から始めて、ここまで8号も出せたのは本当に良かったと思います。編集の追い込み時はかなりな時間を割いていますが、できあがると非常に充実感がありますし、編集長特権で知り合えた方も多々います。思いがけない方から「おもしろかった」「いつも楽しみにしています」などと言われるのもうれしいものです。

ということで、ここまでお読みいただきありがとうございました。
機会があればまたどこかでお会いいたしましょう!

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ということで、ニュースレターに書いてきたようなコラムネタは以後、このブログにて紹介していこう。

興味ある方は、ぜひpdfパスワードの請求を。(事務局メールアドレス→protein.community@gmail.com

このブログにたどり着き、どんなニュースレターか知らないが興味ある方は、目次だけでもどうぞ。パスワード無しで見ることできます(pc7_contents.pdf)。



2012/02/16

今年の蛋白質科学会ポスターはシャペロニン

自分の研究に最もしっくりくると考えている学会は日本蛋白質科学会であり、年に一度の年会には毎回参加している(理事にも選出していただいている)。

今年の年会は名古屋(第12回年会HP)で開かれるが、 そのポスターはうれしいことにシャペロニンGroELだ。GroELの作用機構サイクルがリアルに描かれていてわかりやすい。

第12回日本蛋白質科学会年会


一番左でGroEL(ベージュ色)とGroES(青)が基質となるタンパク質をGroEL内に閉じ込める直前から始まり、次に基質をGroEL内に閉じ込めたGroEL-GroES複合体となる。続いて、反対側のGroELリングにGroESが結合して基質が外れそうなステップまでウェブでは示されている(実際の印刷ポスターでは、内部に格納された基質タンパク質が放出されるところまで表現されている)。

今年の年会は科研費「タンパク質の社会」をはじめとしていつもお世話になっている遠藤斗志也さん(名古屋大・理学)が年会長を務めている。目玉の招待講演者がUlrich Hartl(以前のブログ記事
、ということでシャペロニンGroELをポスターに取り上げたのであろう。
ちなみにぼくもシャペロニンに関するワークショップをオーガナイズし、講演もすることになっている(「1WF:ここまでわかったシャペロニン:作動機構と細胞内での役割」→HP)。

2012/02/05

「日経ヘルス」にシャペロンの記事

先週(2月3日)発売された「日経ヘルス」の「働きもののカラダのしくみ」という欄(p84-85)で、タンパク質のフォールディング、シャペロンを取り上げてくれて、ぼくが監修した。

実際にはライターの方が研究室に取材に来てくれて解説を書いてくれた。イラストも含めて非常にわかりやすく書いてくれたので興味のある方はぜひご一読を。

雑誌の趣旨に「シャペロン」は合ってないように思うけどもライターの方がシャペロンについて紹介したいということで、シャペロン専門家としてぼくのところに話しを聞きに来てくれたとのこと。うれしいことである。

2012/01/29

ヒモが袋(ポーチ)に変換

少し前に羽田で飛行機を待つ間に空港ビル内をぶらぶらしていて見つけたのが右の写真ののようなヒモ。伸ばすと1 mはあってけっこう長い。

 と言っても、このように不定形のヒモ状で商品となっているわけではなく、「zip--it」というちゃんとしたパッケージの商品である。




 いったい何に使う物かわかるだろうか?









 zip--itということでジッパーになっている。

 どんどん巻いていくと何かわかっていく。




 最終的にポーチとなる。














 大きさは20×10cmくらい。一回フォールディングさせたら(組み上げたら)、あまり変性させない(ほどかない)かな。

2011/10/09

膨潤して空洞が大きくなるおもちゃ


 研究室で旅行に行った折りにぶらりと入ったおみやげ屋さんにて、一つネタがころがっていた。





 前に紹介したスイッチピッチに似ているかな。

 特に模様が反転したりするというわけではなく大きく膨らんだり、小さく折りたたまれたりする、というおもちゃである。

2011/10/06

Foldit 再び

先日の投稿にて本ブログのページビューがある週に見たこともない数字になったと書いた。年間ページビューの半分くらいが一週間に集中したのだから驚いた。
理由が気になったので、どこから飛んできて、どのエントリーを訪問したかをチェックしたところ、2ちゃんねるからFolditの解説ページ(2010/01/032010/08/052010/10/11)を訪問するケースが圧倒的に多いことがすぐに判明した。


もう少し調べると、最近Nature Struct. Mol. Biol.(NSMB)誌に出たFolditに関する論文(NSMB,18, 1175-1177, 2011 フリーアクセス)が2ちゃんねるにて取り上げられ、その中でこのブログにリンクが貼られていたのである。

【分子生物】ゲーマーの恐るべき創意工夫能力…ゲーム愛好者らが酵素の構造を解析/米ワシントン大

ということで、Folditの続報がNSMB誌に出ていることは知っていたし、とある科学雑誌から取材もあったのだが、2ちゃんねるでまで取り上げられているとはまったく知らなかった。

そのNSMB誌の論文タイトルは

Crystal structure of a monomeric retroviral protease solved by protein folding game players

訳すと「タンパク質フォールディングゲームのプレイヤーによって解明された単量体レトロウイルスプロテアーゼの結晶構造」。ごく簡単に言えば、オンラインフォールディングゲームFolditで結晶構造を決める最終段階をパズルとして出題したところ、これまでコンピューターでうまく解けなかった構造が決まった、というようなものである。David Bakerグループの論文であるが、著者の途中には Foldit Contenders Group, Foldit Void Crushers Group とあり、この2者はFolditでプレイするゲーマー集団ということだ。

内容としては、X線結晶構造解析の際に用いられる分子置換法がうまく行かなかったケースにFolditで粗いモデルを出題したところ、X線回折データによく合う立体構造をゲーマーたちが3週間で決定した、というものだ。

インパクトとしては前のNature論文の方が高いと思う。が、今回は難問だったタンパク質の立体構造を最終的に決定するお手伝いを「リアルに」行ったということでNSMB誌に掲載となったのであろう。考察では、創薬などにも活かせるのではないかということで締めくくっている。

注意しないといけないのは、ゲーマーたちはまったくかたちの無い状態から折りたたんでいった訳ではないことだ。実際の出題はBakerグループが開発したRosettaというアルゴリズムを使っておおよその立体構造まで出してあり、Folditプレイヤーたちはそれを「精密化」していったというのが正しい。ただ、計算機が苦手とするところを人間の「直感」が越える部分があったのは確かなようだ。

最初の話しに戻れば、2ちゃんねるで盛り上がったのはゲーマーの面目躍如ということであろう。Folditは英語版しかなく、日本から参加しているプレイヤーはかなり少ないようだが、今後ぜひ日本からも貢献してほしいものである・・・。

と書いたところで、以前のFolditのNature論文のあとに「実験医学」誌に書いたコラムの最後を思いだした。

「・・・・今の世の中、チェスや将棋などで人類はコンピューターに負ける話しばかりである。タンパク質フォールディングで人類はコンピューターに一矢報いた、ということで少し愉快になった。が、まだまだ参加者は少ないので人類の英知の本領発揮はこれからではないか。もっとゲーマーが増えれば天才的フォールディングプレイヤーが出現し、構造予測ラボにこっそり雇用される、なんて出てこないだろうか。実験医学 28, 3117-3118 (2010)」

ということで、デイトレーダーならぬデイフォールダーみたいな職業ができるかもしれない。

と書いたところで、さらに連想が広がった。
Natureに以前載っていたアマチュアバイオ実験家の記事だ。

Garage biotech: Life hackers Nature 467, 650-652 (2010)

おもしろい記事だったので、いずれ解説することにしよう。

2011/10/04

次号のニュースレターは延期

 科研費特定領域研究「タンパク質の社会」の領域ニュースレターをこれまで半年に一度ずつ編集長として発行してきた。

 今までのペースだと年度半ばの10月始めに発行してきたのだが、本領域最終年度の今年度は諸般の事情により、年一号だけの発行と決まった。ということで、次の号は来年2月末日発行予定である。

 ニュースレターを楽しみにしてくれている読者のみなさま、さらには今秋発行と言うことで既に原稿を書いてもらったみなさん、たいへん申し訳ございません。

 次号は最終号として、これまで以上に充実した内容のニュースレターになることをお約束できると思いますので、こうご期待!

– – – – –

 写真は今日の「7量体」

 今年オーストリアに行った際のフライト中に出てきたスナック菓子の一つ。「おっとっと」みたいな感じ。

2011/10/03

ラスカー賞にシャペロニンGroEL研究者

 20年以上、シャペロニンGroELの研究をしている。

 最初に始めたころはシャペロンの概念がまだ確立したころであり、分野はまだまだ黎明期。「シャペロン」というより、熱ショックタンパク質Hspと呼ぶことが多かったと記憶するが、シャペロンの研究なぞまだ海の物とも山の物ともつかなかった時代である。

 そんなシャペロン研究もノーベル賞候補者が出てくるようになってきた。一つには、数年前にインパクトファクターなどで知られるトムソン・ロイター社がシャペロンの概念の提案で知られるJohn EllisとシャペロニンGroEL研究で功績の大きいUlrich Hartl、Arthur Horwichの三人をノーベル賞候補として発表したのだ(→2007年の予想)。

 そして、今年。ラスカー基礎医学研究賞にHartlとHorwichが選ばれた。Lasker Foundationのトップページにはおなじみの写真が並んでいる。

ラスカー賞は「アメリカのノーベル賞」とも呼ばれ、実際、これまでに80人ものラスカー賞受賞者がノーベル賞を取っているそうだ。

 それはさておき、お二人の受賞理由は、
For discoveries concerning the cell's protein-folding machinery, exemplified by cage-like structures that convert newly made proteins into their biologically active forms.
ということである。

意訳すると、

細胞内でのタンパク質のフォールディングを助ける分子マシン、特に、新生タンパク質を活性のある構造に変換する「かご」状構造、の発見

というようなものである。「シャペロン」や「シャペロニン」という単語は出てこないが、この「かご」状構造がシャペロニンGroELのことである。ラスカー賞の受賞理由の記述にはGroELの構造や反応サイクルがきちんと載っている。

二人の功績は確かに大きい。あまりに詳しく知っているので(当たり前だが)、ここで書き出すといくら書いてもキリがない。

Cell誌にRothmanとSchekmanの二人の大物がこのラスカー賞について解説を書いている。
Molecular Mechanism of Protein Folding in the Cell

ぼく自身もGroELの研究に長く携わってきて、彼らの研究に感嘆することもあれば、ちがうんじゃないの、ということもある。実際ずいぶんと議論してきた。感慨もひとしおである。

個人的にもお二人にはとてもよくしてもらっていて、それぞれご自宅にまで招待されてたいへんな歓待も受けてきた。

Congratulations!


ただ、本当はもう一人入ってほしかった。George Lorimerだ。

特に、GroELがフォールディングを助ける分子マシンとしてはたらくことを最初に見出したのはLorimerである(Goloubinoff et all., Nature, 1989)。

個人的にはLorimerにもお世話になっており、ぼくにとっての「シャペロン」の一人だ。修士の頃にアメリカのLorimerラボに行かせてもらって、好熱菌GroELの実験を少し行ったのが、そのあともGroEL研究を続けるきっかけとなったのだ(そのときの実験自体は失敗に終わったが、その失敗理由を考えたことがぼくの初の論文、JBC1991、につながった)。
そのLorimerがなぜ選に漏れたのかもよくわかるだけにさみしいものがある。


さて、別の小ネタを。

90年代前半にラスカー賞の二人は実りのある共同研究もしてきた仲である。

・・・が、現在の二人のGroEL研究はうまくかみ合っているわけではない。相当激烈な論争のまっただ中である。
 この微妙な関係で受賞式のときとかどうなるのかな、と少しだけ気になるところだ。

↑このあたり、科研費「タンパク質の社会」のニュースレターにいくつか記事を書いた(6号コラム4号特集)に詳細に書いたので興味のある方はぜひ読んでみてほしいところである(コラムはそのまま読めますが、4号のpdfはパスワード制限あり。ただ、パスワードはメールをいただけたらすぐに教えます)。

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写真は今日の「7量体」

近所の公園での葉っぱだが、数えてもらうとGroELのマジックナンバー7ということで写真に撮っていた。


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2011/09/25

そろそろ復活?

 すっかりご無沙汰してしまっているうちに秋になってしまった。

書きたくなるようなネタがなかったというのは言い訳で、サボっていたのが正確なところだ。実際、仕上げを待っている下書きはけっこうたまっているのだ。

そろそろ復活せねばなるまい。その理由は以下の通り。

(1)学会などで久々に再会した方や初対面の方など思いがけない方々から、このブログを楽しみにしています、ということを聞いた。

(2)何人くらいがこのブログを見ているのか解析していて、自動で週間レポートがメールで届くようになっている。最近はそのメールを開くことすらしていなかった。更新してないんだから減っていくばかりだしなぁ、ということで・・・。

今日思い付いてこの一ヶ月ほどのを開いてみたら・・・。

なんと増えているではないか! しかも、つい最近のは今まで見たこともない数字が並んでいて驚いた。

理由は定かではないが、思いのほか読んでもらっていることは確かである。

再開せねばなるまい。


 写真は本文の内容と関係ないが、春に行ったEMBOミーティング(Grundlsee、オーストリア)での一枚。ザルツカンマーグートというザルツブルクからバスで2時間はゆうにかかる山と湖が織り成す美しいところだった。サウンドオブミュージックの舞台のそばということだ。

2011/05/04

ニュースレター第7号発行

ニュースレターの第7号が発行済みだ。

今回も盛りだくさんの内容だが、中でも目玉はPeter Walter博士インタビューであろうか。「Life is not linear」というタイトルで大いに語ってもらった。

目次はこちら(→ pc7_contents.pdf

表紙は昨年末に縁のあった東京芸大の学生さんの一人に書いてもらった。

興味ある方は、ぜひpdfパスワードの請求を。
(事務局メールアドレス→protein.community@gmail.com

2011/04/23

サイエンスカフェ

 すっかりこのブログをごぶさたしてしまった。もしときどき覗きに来てくれている人がいたならすみません。元々、日記的なブログではなく、ネタがあるときだけ、というスタンスではあるが、ちょっと間が空きすぎたかもしれない。実はネタもあって下書きまでできているストックはそこそこあるのだが、3月11日の地震の後はいろいろなことを考えさせられ、公開する気になれなかったということもある。

 3.11については表層的なことだけ書くと、東北地方への出張が取りやめになったり、ラボがしばらくは実験停止になったり・・・。震災の影響は過去形ではなくこれからがもっとたいへんなことになるのは確実だろうが、4月になってある程度は元の生活に戻りつつある。元気な新人も研究室にたくさん入ってきた。新学期のことについては別のエントリーにしよう。

さて、4月始めにサイエンスカフェで講師をする機会があった。

題して「タンパク質カフェ」。そのままのタイトルである。


 そもそもの事の始まりは、昨秋の東工大での「ものつくりバイオコンテスト(高校生バイオコン2010)」で審査員をした際、外部審査員として来てくださったサイエンスコミュニケータの蓑田さんに自分の研究の話しをしたのがきっかけである。話しの中で「タンパク質のフォールディングにまつわるパズルなんかを集めるのが趣味なんですよ」などと話したのが面白いと思ってくれたらしく、サイエンスカフェに誘ってくれた。

 事前に主催の蓑田さんらが東工大に来て打ち合わせをしたのだが、その際に写真も撮り、ポスターも作ってくれた。ここで示すように本ブログで紹介してきたパズルやおもちゃを散りばめたポスターである。

 参加者は理系に全く縁のない方も来るということで専門用語はできるだけ使わず平易に説明してください、とのこと。さらには、プロジェクタを使った講演会形式ではなく、紙芝居形式で大事なポイントを記した紙を10枚程度準備して10分くらい説明したら後は対話しながら進めてください、ということでいつもの学会発表などとはだいぶ勝手がちがうので始まるまではどうなるか少し心配であった(昨年末の芸大生相手のレクチャーは自分のペースで勝手にしゃべった)。
 
当日は、千駄木のこぢんまりとしたカフェで10数人を相手に話しをした。年齢や性別もいろいろで一番若い参加者は高校1年生!。男女比は女性が少し多いくらいだった。講師のぼくも含めてみながケーキを食べながらというのがまさにサイエンス「カフェ」。

 テーブルにパズルやおもちゃを適当に並べていじってもらったりしながら会はスタート。紙芝居の要領で図を見せたり、ポリペプチドもどきのおもちゃをいじったりしながら、タンパク質とは何かから話しを始める。会のようすも写真、あと、Twitter?(Togetter WEcafe Vol13)でまとめてくれている。

 基本的には芸大生向けの講義のときのような感じでできるだけかみ砕いて話していったつもりであるが、ところどころで進行役(ファシリテータと呼ぶらしい)のサイエンスコミュニケータの蓑田さんが、よりわかりやすくするための突っ込みを入れてくれる。また、会場からけっこう気軽に質問が出たりする。双方向性が高いのは、確かにふだんの講演や講義とはまったくちがう。何でもいいから質問してくれるのはうれしいものである。

 タンパク質についての説明のあとは、フォールディングの基礎原理(Anfinsenのドグマ)、シャペロン、プリオン、と結局は自分の専門になった。主催の蓑田さんからは、「個別の知識を知ってもらうのだけではなく、その背景にある科学的な思考を体得してもらえたら最高です」という課題をいただいていたが、さてどうだったか。途中からはぼくの説明が多すぎたかもしれない。とは言え、プリオンはやはり興味があるらしく、病気に関係するいろんな質問が出てすべては答えられなかった。

 時間にして2時間くらいがあっという間に終わった。結果として非常におもしろい体験だった。どんな質問が飛び出るかわからないという点で、ふだんの発表とはちがった緊張感もある。また、自分たちの研究を専門家以外にどう伝えるかというまたとないチャンスでもあった。
いずれまた機会があればぜひ参加して、一人でも多くの方々に自分たちの行っている研究の楽しさ、研究者の醍醐味を伝えてみたい。

2011/01/10

あけましておめでとうございます。


 珍しくラボ用に年賀状を作成した。と言っても印刷用ではなく、海外の知り合いにメイルの添付で送るために作ったものだ。考えてみたら昨春に東工大に移った(戻った)ということすら連絡していなかったのである。

 東工大に来て9ヵ月が過ぎ、ラボも落ち着いてきたと思うが、これもひとえに写真に写っているメンバーたちのおかげである。何もないところから始まるということを知っていながら参加してくれたメンバーのみなさん、ほんとうにありがとう。おかげで幸先の良いスタートを切れたと思います。
今年もよろしくお願いします。

と同時にこの不定期更新ブログを見てくれている方々もありがとうございます。日記風にするつもりはないので紹介したいネタがあるときだけですが、今後もどんどん載せていくつもりです。楽しみにしていてください。

2010/12/21

ARTODAY 芸術家の卵に蛋白質研究をレクチャー

 縁あって芸術を専攻する学生に生命と蛋白質に関するレクチャーを行った(詳細はこちら)。
 
 東京芸術大学の岩間賢さんが主宰するゼミの一環ということで、岩間さんと岩間ゼミ履修生10名ほどが東工大に来てくれて、まずはこのブログで紹介しているタンパク質パズル・おもちゃで少し遊んでもらい、そのあとで蛋白質についての講義を聴いてもらった。

 蛋白質研究と現代芸術に接点はあるのか、と思うかもしれない。自分自身「?」な部分があるのが正直なところだが、蛋白質の立体構造の美しさ、かたちのないところからかたちが形成される現象(つまりフォールディング)、かたちが機能を決定するという蛋白質の基本原理についてわかってもらえるよう、このブログのネタを随所に登場させたりして工夫したつもりである。(例えば、シャペロニン・ケーキ。これは思いのほか受けた)


 講義のあとには、うちのラボのメンバーにも手伝ってもらって簡単な実験(GFPの変性・再生実験→写真動画)をしてもらったり、GFP発現酵母や大腸菌を蛍光顕微鏡でのぞいてもらったりした。芸大の学生さんにとってはとても新鮮な体験だったようだ。


 最後に懇親会を行い、そこでは芸大の学生さんが持ってきてくれた作品ファイルを見せてもらった。一言で言えば、とても素晴らしかった。絵、インスタレーションの記録、映像作品、などなど。アートに詳しいわけではないが、一人一人がそれぞれまったくちがうスタイルで何かを表現していることはよくわかる。来てくれたのは油画専攻一年生ということでタイトルに「芸術家の卵」と書いてしまったが、大学以外ですでに発表の場を作っていたりもして、もはや立派なアーチストである。そのクオリティーの高さに非常に強い感銘を受けるとともに理系の実験系の学生ではこういう表現をすることはなかなかできるものではないな、とも感じた。

 これまでたまに美術館に行くことなどはあっても、作家さんと直接交流しながら作品を見るという機会はほとんどなかったので、アーチストさんが何を考えて作品を作っているか、その一端を垣間見ることができたと思う。アートとサイエンスで通じる部分もけっこうある。うちのラボの学生たちにも強い印象を与え、刺激になったことだろう。

 いずれにしてもとても楽しい時間を過ごさせてもらった。このような会を企画してくれた岩間さんに感謝である。岩間さんご自身、現代美術家であり、この企画の前にも会ってお話ししたり、作品を見させてもらって楽しませてもらっている。興味ある方は岩間賢さんウェブサイト(http://www.oh-mame.com)をご覧ください。
 

2010/12/18

経路のちがうフォールディングパズル

 このブログ(補足情報)にはいろいろな立体パズルを登場させているが、記念すべき第一弾はタンパク質のフォールディング、特に格子モデルを模した木製キューブパズルである。その後の情報によると立方体(天然構造)をバラした「変性」状態はくねくねしてヘビっぽいのでスネークパズルとも呼ぶらしい。

 このパズルはその後もさまざまなところで活躍中であり、本当に重宝している。不満としてはもう「飽きた」こと。パズルとして解がわかっているので、今や目をつぶってもできるくらいである。それはそれで講義などで使う分には、ささっと折りたためてかっこいいのであるが、自分としてはちょっと物足りない。100円ショップのチェーンで入手した別のも同じフォールディング経路であった・・・。

 ところが、ここにきて別の「経路」のパズルがあることが判明した。しかも、7種類もあるという! 100円ショップで同様の物が売っているのを知っているとおののく価格だが、シャペロン屋の「商売道具」ということで売り切れを除いて入手可能な6種を大人買いした。


 チェコ製というこのパズル、なかなかいい質感と動きで大枚はたいた甲斐があったというものである。色によって難易度もちがうということだが、最難関のがあっさりフォールディングしたりしたのでよくわからない。



 どれも27個の小さなキューブ型木片が硬いゴムでつながっているという点では同じだが、色によってつながり方が微妙にちがっている。端から見て、ある色は2−2−3−・・・、また別の色は3−3−3−・・・、というようにちがっていて、その「トポロジー」のちがいによってフォールディング経路が異なるわけである。




 何本もの「変性状態」を絡み合わせば、「凝集体」も簡単に作れる優れもの。




 と、これを読んで欲しくなった人、いるでしょう? 「コブラ チェコ」ですぐにわかります。ぜひ楽しんでください。



2010/10/25

ニュースレター第6号発行

 予定より一ヶ月遅れでニュースレターを発行しました。あいかわらず毎号難儀していますが、できあがるとうれしいものです。


 編集長という立場上、いろいろと小ネタを書いているのでこの機会に一部だけ公開することにしました。

1)コラム・書評の公開:このブログの以下のエントリーにあるように自分で書いたコラム、書評は公開することにしました(→こちら)。

2)目次の公開:pdfパスワードをご存じない方はどんな内容かもわからないかと思い、今回から目次のページだけは公開することにしました(ニュースレターダウンロードページ)。


目次を見て興味を持った方は事務局か編集長の田口までお気軽にご連絡ください。

2010/10/21

ニュースレターのコラム一覧を作りました

 科研費特定領域研究「タンパク質の社会」ニュースレターの編集をしていて、ページの埋め草にコラム、書評、学会レポートなどけっこういろいろと書いてきた。このニュースレターは論文未発表の内容などにも多々触れているために基本的にはクローズドの冊子であるが、自分の書いたコラムは田口研HPにまとめて載せることにした。

→ コラム一覧 URL:http://www.taguchi.bio.titech.ac.jp/paper/column/column.html

このブログの記事から載せたコラムもあるが、初出の内容も半分くらいはある。

2010/10/11

「Foldit」がNature論文に!(その2)

前のエントリーを書いてからあっという間に二ヶ月も経ってしまった・・・。
もし、続きを待っておられた方がいたら申し訳ありません。

さて、続きです。

 この論文のサプリメントにはこのオンラインゲームに参加した人たちへのアンケート結果が掲載されていて興味深い。

例えば、

・ゲームを行っている人たちの学歴では大学院レベルの人は4分の1程度。

・国別では多い順に、アメリカ、イギリス(ここまでで約半数)、ドイツ、フランス、ポーランド、スウェーデン、オランダ、オーストラリア、ロシア、ポルトガル。日本はどこにも出てこない。

・ただ、トップ50プレイヤーで見るとフランス、オランダの健闘が目立つ。

・年代では、ゲーム参加者全体では3分の2が35歳以下だが、トップ50では4分の3が36歳以上! 積み上げてきた人生経験がフォールディング予測に寄与したということか・・・。

などなど、ふだん読む論文とはちがった楽しみ方がある。

 さらには、上級者へのメールインタビューまで載っていて、どのような「戦略」でフォールディングさせたかが紹介されていたりもする。中には「ゲーム中毒になって7ヵ月で2日を除いて毎日やっていた」という者や「とにかく人よりハイスコアを出したいという一心でがんばった」という者までいたりと、人間味あふれる内容となっている。

 それにしても、こういった遊び心を専門家をも唸らせる研究にまで仕立て上げる懐の深さに感嘆した。 ・・・見習いたいものである。

2010/08/05

「Foldit」がNature論文に!(その1)

 このブログを読んでおられる方々ならタンパク質のフォールディングがいかに難しいかよくご存じのことと思う。ちょっと思考実験すると、アミノ酸が連なったポリペプチドのヒモが取り得る立体構造の場合の数は膨大であることがわかる。たとえば、アミノ酸が2個並んだジペプチドが取り得る構造が3通りとしてもアミノ酸が101個並んだら3の100乗という天文学的な場合の数になるのだ。この膨大な中から1秒も経たずに一つの天然構造(自由エネルギー最小の状態)にフォールディングが起こるのは実にフシギだ、というのがフォールディング業界でよく引き合いに出されるLevinthalのパラドックスである。

 この複雑さにより、アミノ酸配列がわかってもタンパク質の立体構造をコンピューターで正確に予測するのは今でも難しい。世界中の計算科学者がタンパク質の立体構造予測コンテストを行うくらいなのである(→CASP)。

 さて、今年はじめのエントリーにて、オンラインでのタンパク質フォールディングゲーム「Foldit」を紹介したところである。Folditは、ワシントン大のBakerらが開発したRosettaというタンパク質の立体構造予測アルゴリズムをベースに一般の人たちがポリペプチドをいじって「フォールディング」をシミュレーションできるゲームである。この「人力」フォールディング後にはエネルギー計算が施され、エネルギーが安定な構造を作った人ほど高いランクになる。

 とここまではイントロで、今回驚いたのは、このFolditが何とNatureの論文になった(→こちら)。れっきとしたオリジナルペーパーである。Nature誌での扱いはかなり大きく、通常の解説欄(News and Views)ではなくNews Features欄の「Citizen Science: People Power」と題された記事で著者(Baker博士)の写真まで入ったかたちで紹介されている。

 とにかくユニークでこんな論文見たことない、というのが第一印象だ。

 まず驚かされるのが著者欄。ラスト「オーサー」が「・・・and Foldit players」となっている。そう、この論文はネットでFolditをプレイしていた人たちをも巻き込んだ論文なのである。

 なぜFoldit playersが「著者」に加わったかというと、トッププレーヤーたちが作り上げた立体構造は世界有数のコンピューター予測を超えてよい成績を収めることが多々あったというのだ。このトッププレーヤーたちはまさに「シャペロン」である。


 いろいろな点で驚かされるこの論文。時間が取れ次第もう少し解説してみたい。ということで次回に続く。

(以下は、自分のシャペロンの講演の締めくくりでたまに用いる写真。くねくねのポリペプチドもどきを「人力」でフォールディングしてヘリックスにする。)


 

2010/07/07

eSOL(蛋白質可溶率データベース)の拡張

 我々が行った大腸菌全タンパク質の凝集体形成傾向のデータ(Niwa et al. PNAS 2009, pdf)がeSOLというデータベース(DB)として公開されている。
 このたび、統合データベースプロジェクトの畠中さんのご尽力により、eSOLが蛋白質関連の統合DB(TogoProt)に登録された。



 この統合により、ある蛋白質に関するデータを多面的に調べたい方はバラバラに調べることなくまとめて情報を得ることができると期待される。

 (eSOLは大腸菌タンパク質だけなので検索時には、たとえば metk ecoliというようにecoliを付けてください)

2010/07/03

光るオワンクラゲ

 以前のエントリーで鶴岡出張の際に加茂水族館にてオワンクラゲを見てきた件について記した(「オワンクラゲ」2009/1/10)。その続きとして、先日、慶應大学先端生命科学研究所に用事があって鶴岡を訪れた際に、再度加茂水族館を訪ねたのでその顛末を紹介したい。


 前回唐突に訪れた際、精製したGFPを差し上げたところたいへんに喜ばれ、ニュースになるくらいであったが、残念ながら館長さんに会うことはできなかった。その後、加茂水族館ではオワンクラゲと一緒にGFPタンパク質そのものを展示したり、館長さんからは直筆の手紙や著作をいただくなどしていたのでぜひとももう一度伺いたいと思っていたところ、再び慶應大学(鶴岡)に行く機会に恵まれ、再訪することができた。

 今回は事前に連絡を入れておいたので、村上館長に会うこともでき、一般のお客さんには非公開の「クラゲ研究所」に案内していただいたり、直々にクラゲ生育の苦労話を教えていただいたりと楽しい時間を過ごした。最後にはクラゲの絵柄入りネクタイやタイピンまでいただき、たいへん満足して水族館を後にした。

 前回訪れた際にはオワンクラゲは「光ってなかった」が、今回はブラックライトに照らされて美しく緑に光るクラゲを見ることができたのもうれしかった(下のきれいな写真は、同行した卒研生が撮してくれた)。


 なお、前回の鶴岡訪問のきっかけとなった慶應大学との共同研究は実を結び、シャペロニンGroELの細胞内基質タンパク質をきちんと決めることができた(Fujiwara et al, EMBO J. 2010 日本語での解説は「タンパク質の社会」の成果欄を参照)。

2010/06/27

「タンパク質の社会」国際会議(奈良、2010/9/13-9/16)

 事務局を仰せつかっている科研費特定領域「タンパク質の社会」の大イベントが今年開催される。奈良にて国際会議が開催されるのである。

 詳細は会議専用のウェブサイト(→こちら)をみていただきたいが、関連分野のトップサイエンティストが勢揃いである。刺激的なミーティングになるのはまちがいなく、今から楽しみだ。







 ちなみにポスターは業者に依頼して作ったのではなく全部自作である。早い段階で「とりあえず」作った(作らされた?)のがそのままアップデートされて出回っている。

2010/06/06

ニュースレター第5号発行

3月上旬に特定領域「タンパク質の社会」のニュースレター第5を発行した。


 5年間続く「タンパク質の社会」科研費特定領域(19-23年度)も折り返し点を過ぎ、今年度は9月に奈良で盛大に国際会議を開く。ということで、この号の表紙は奈良がモチーフである。

 編集はいつもぎりぎりのスケジュールであるが、今号は自分の異動とも重なったために発行が危ぶまれるほど(ほんとに)大変だったが、何とか年度内に発行できホッとしている。関係者のご協力に感謝いたします。

2010/04/05

東工大に移りました!

4月1日より東京工業大学に移りました(生命理工学研究科生体分子機能工学専攻・教授)。

 東大・新領域に移ってから6年半で母校に戻ってラボを主宰できることになり、気持ちも新たに張り切っていきたいと思います。

 東大からは野間さん、丹羽君も付いてきてくれることになり心強い限りですし、着任早々、東工大の卒研生4人が配属になりました。他にも野島君(京産大・吉田賢右研)も田口研に参加してくれることになっています。

 3月末にラボの引っ越しをしてまだ数日で段ボールだらけの中です。そんな中、研究室発足パーティーの前にメンバーみなが集まってセットアップ途中の各部屋や桜が咲く道の前で記念撮影を行いました。

 さらには、記念に残る写真にということでホワイトボードに何か書いてくれ、と言ったら、「田口研発足」という以外にも楽しい絵をいっぱい描いてくれました。左下の「婦人」は書いてくれた卒研生のもつ「シャペロン」のイメージだそうです。酵母、プリオン、フットボールもあります。何年かして何周年かのときにはまたちがった絵が描けるよう新しいことにもチャレンジしていきたいな、と思います。