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2018/03/24

シャペロニン的?なアートカレンダー

 3月に恒例の追いコンにて卒業生一同よりプレゼントをもらった。

 MoMAストアのパーペチュアル(永久)カレンダーである。MoMAのグッズははこれまでにも多数このブログで紹介していることからわかるように、好みに合った立体的に美しいアート作品だ。

 とりあえず、カレンダーをテーブルに置いた状態。磁石がうまく使われていて月と日を手動でセットする。


MoMA Perpetual calendar
月と日の部分を拡大した写真。
 3月24日にセットしたところ

GroELーGroESフットボール模式図

 さて、これを選んだ学生いわく、このカレンダーはシャペロニンのフットボールに似ているという。正円を黒い棒が真ん中から分断しているのでダブルリングに見えるということだろう。

 あと、空間が抜けているところもシャペロニンっぽいかもしれない。つまり、シャペロニンの場合、空洞に基質タンパク質を格納することが機能の本質であり、このカレンダーでは月日を抜けたところに置いているということだ。


 とは言え、形状としてはカレンダーをそのまま見ても若干無理があるなぁと思いつつ、撮影しながら傾けて見ると楕円形になりフットボールっぽくなった。

「フットボール」二つ
奥に置いたのは3Dプリンターで作成したGroELとGroESのフットボール模型だ。

ところで、昨年3月はシャペロニンGroELもどきのサボテンということだった。そのサボテンも立派に成長してラボに置いてあるので一緒に撮影。

「シャペロニン」三つ
左にかけたのは、以前いただいたシャペロニンフットボールの模型ストラップだ。


ということで、ラボに3年もいると私に影響されて?、みんないろんなモノがタンパク質に見えてくるのかもしれない。

 いずれにしても、卒業する修士2年の皆さん、ありがとうございました。美しいコレクションがまた一つ増えました。


2017/03/20

シャペロニンGroELもどきのサボテン

 3月ということで卒業生が巣立つ時期である。
 先日の追いコンにて卒業する学生たちが記念品をくれたのだが、その一つが本ブログのコンセプトにぴったりのモノであった。

 サボテンである。


 右にあるように雑貨屋で売っていそうなビーカーに入ったおしゃれなサボテン。

上から良く見てみよう。


 はい、とげを数えてみよう。1,2,3,・・・7。

 ということで、本ブログにたびたび登場するシャペロニンGroELの7量体にちなむサボテンである。もらった瞬間、頬が緩んだのは言うまでもない。

 学生からのメモも載せておこう。


ということで、少し前の「東寺の紋」に続く7のシンメトリーである「GroEL」もどきだ。本ブログのコンセプトを理解してくれた人たちからのギフトということで嬉しいものだ。

 他にも何か見つけたら教えてください。

2016/05/28

Snaak:カチカチと折りたたむ3Dパズル

(2016年5月28日掲載だが、更新しようとしたら消えてしまったので再掲)

次もアメリカで入手したモノで立体造形パズルというかおもちゃである。Snaakというらしい。snaak.comによると、"3D puzzle and shape-maker tool."と定義されていた。

日本では未発売のようだが、なかなか気持ちよくいろんなかたちを作ることができる。

まず、一番の典型のキューブ型に造型してみる。
写真ではちょっとわかりにくいが、4×4×4=64個のパーツがゴムでつながっていて、カクカク、カチカチと折れ曲がるようになっている。


では、キューブをバラして、「変性」させてみよう。














購入時は8×8の平面状として販売されていた。


右がパッケージ。MOMAのミュージアムショップにて購入。





説明文として、
Millions of shapes in your hands
ということでかなりいろんなかたちを作ることができる。

研究室のお茶部屋に置いておくとなかなか人気で、学生が日に日に違ったかたちを作ってくれる。



売り場には透明、赤、緑があった。GFPや赤蛍光タンパク質を意識して緑と赤を購入。


緑と赤をそれぞれ GFPとRFP(Red Fluorescent Protein)に見立てると、FRET(蛍光共鳴エネルギー移動)バージョンを作ることも簡単だ。


真ん中の「ペプチド」領域がヘリックスを形成して緑と赤が近いと、エネルギー移動が起こって、緑蛍光を励起したとき、赤蛍光が出る。
以下は、真ん中の「ペプチド」が伸びきって、GFPとRFPの距離が拡がり、FRETが起こらない。


それはさておき、開発元を見ると多様なかたちが紹介されている。
 (→ Snaak Geometry by Gideon Cube-Sherman )。

そのサイトにはDNA二重らせんもある(→ Double Helix by Dane Christianson )。


 さらには、そこにあった動画も載せてみる。カチカチ感が伝わるかもしれない。
(説明の音声注意)





ーーーーー
2017年7月追記
このオモチャはラボでも相当に人気があって、実にいろんなカタチを学生たちが創ってくれる。


2014/10/04

「新生鎖の生物学」がスタート

 ブログでは紹介していなかったが、この数ヶ月で研究環境に大きな変化が生じた。
田口が代表として申請していた科研費新学術領域研究にめでたく採択されたのだ。

「新生鎖の生物学」

(いつもは大きなフォントは使わないが、例外的に強調したいので大きくしてみた)

新学術とはなんぞや、ということで知らない方も読んでおられるかもしれない。補足しておくと、新学術領域研究とは科研費の種目の一つで新しい学術領域を推進するためにチームを組んで研究を行う。以前は特定領域というのがあり、本ブログで数年前までたびたび「タンパク質の社会」のニュースレターやらウェブやらの記事があったが、その後継が新学術領域研究だ。

今年度から30年度までの5年間の新学術領域研究の一つとして「新生鎖の生物学」を推進できることになった(注1)。

そもそも「新生鎖」って何だ、ということで、まずは申請書に記した概要を以下に示す。
 ごく最近、リボソームで合成されつつある新生ポリペプチド鎖(新生鎖)を主役として、フォールディング、シャペロンといったタンパク質研究とRNA研究の接点から、新たなバイオロジーが生まれつつある。新生鎖は何事もなく進む合成の通過点ではない、ことを示す知見が急増している。新生鎖は、リボソームに自ら働きかけることで自身の翻訳速度を制御しつつ、シャペロン群と相互作用しながら正しいフォールディングに向かう。タンパク質の品質管理は新生鎖の段階からすでに始まっている。そればかりか、異常mRNAの品質管理も新生鎖を介して行われるらしい。さらに、新生鎖自身が成熟タンパク質とは異なる新規の機能を有する例もわかってきた。そこで、以上の開拓的な研究を遂行してきた研究者を中心に“新生鎖”を主役とする新たな研究領域を設定し、技術開発も含めながら、新生鎖が関わるさまざまな生命現象の包括的な解明をめざす。
概要図があるとわかりやすいであろう。


 つまり、新生鎖とは新生ポリペプチド鎖である。リボソームの中でtRNAが結合したままなので、ポリペプチジルtRNAとも言える。

事務局は稲田利文さん(東北大学)に置き、既にウェブサイトもオープンしている(→こちら)。

http://www.pharm.tohoku.ac.jp/nascentbiology/


  図は空をリボソームを模した飛行船がぷかぷかと浮いていて、そこから「新生鎖」が伸びていき、最後は飛行機雲となる。よく見ると飛行機雲はタンパク質のかたちっぽくなっている。つまりフォールディング完了しているということだ。カラフルなアミノ酸が連なった変性状態の新生鎖のそばには白い雲らしき何かがそばにいるが、これはシャペロンのつもりである。

ということで、今後は「新生鎖の生物学」にまつわるトピックスも紹介していくことにする。

思い起こせば本ブログでも新生鎖にまつわる話題は既にときどき扱っている。
もっともそれっぽいのは以下の写真を紹介した2008年の「The Waltz of the Polypeptides」である。


アメリカのCold Spring Harbor研究所でのミーティングの際に撮った写真である。
このモニュメントでは新生鎖は既にフォールディングしているが、 実際にいつもそうなのかどうかを調べるのが本領域でのミッションの一つである。


ーーーー
注1:通常もっと長い領域名称が正式にあり、略称を付けるのが常である。が、本領域は正式名称が「新生鎖の生物学」だ。この7文字は最短記録ではないか、と調べたら(新学術一覧)、5文字と6文字のが一つずつ存在した。ついでに言えば、5文字の領域(原子層科学)は略称でさらに短く3文字(原子層)にしている。本領域も略称は「新生鎖」にすればよかったか。)



2014/10/03

科学未来館のノーベル賞予想は・・・

 もう今年も10月である。気付けば前回の更新から4ヵ月も経ってしまった。この間に「ブログ更新しますから」と約束した人は何人になるかわからない・・・。

さて、10月上旬と言えば、ノーベル賞発表のシーズンである。つい数週間前にスウェーデン出張に行ったのだが、その余韻の中、唐突に日本科学未来館の科学コミュニケーターの方からメールが届いた。

「画像提供と引用へのご承諾について」

?と思ってメールを読む。

画像はぼくが行ったシャペロニンがあると固まらないゆで卵実験の写真(右写真。元のブログ記事注1こちら)。

引用は3年前の本ブログ記事「ラスカー賞にシャペロニンGroEL研究者」であった。

 どういうことかと言うと、未来館ではこの季節に今年のノーベル賞予想をしているということで各方面に話しを聞いたところ、遠藤斗志也さん(今年度から京都産業大学)が化学賞にシャペロニンが来るのでは、とうことでHartlとHorwichの名前を挙げたらしい。

この二人は3年前にシャペロニンの作用機構でラスカー賞を共同受賞しており、その際に本ブログで紹介していた(→こちら)。
ラスカー賞はご存じのように「ノーベル賞の登竜門」であり、Hartl、Horwichはいつ受賞してもおかしくはない。(ちなみに、今年のラスカー賞受賞者は京大の森和俊さんとPeter Walter。遅まきながら、森さん、おめでとうございます。Walterについては「タンパク質の社会」ニュースレターのVol.7にインタビュー記事の掲載している。)

話しを戻すと、未来館のブログにてシャペロンの解説を行うということで、「ゆで卵」写真をシャペロンの役割を示す写真として使ってくれた。

日本科学未来館 科学コミュニケーターブログ
→「研究者に聞く!ノーベル賞は誰の手に?①化学賞に分子シャペロン?

未来館のブログでシャペロンを解説してくれてうれしい限りだ。
シャペロンの作用機構の手描きイラスト、おにぎりを作るようすでタンパク質のフォールディングになぞらえたり、わかりやすく解説されているのでぜひ読んでみてほしい。
 
話しはもう少し続く。

実は、未来館ブログが予想したのはHartl、Horwichに加えてもう一人。それはGeorge Lorimer。
3年前の本ブログのラスカー賞記事に「ただ、本当はもう一人入ってほしかった。George Lorimerだ。」という部分があったのをきちんと読んでくれていたのだ。

さて、どうなることやら・・・。

ーーーー
注1:そもそもこのブログを初めて書いたのが「ゆで卵実験の思い出」という投稿であった。2006年なので、かれこれ8年続けていることになる。

2014/03/09

新著紹介「学んでみると生命科学はおもしろい」

 突然だが、1月末に本を出版した。

学んでみると生命科学はおもしろい

 これまでにも専門家向けには共著や編著ということで出版してきた経験はあるが、今回は一般の方々に届けたい内容かつ単著である。ベレ出版の「学んでみると○○学はおもしろい」というシリーズ本の一つとして、編集者からお声がかかり、足かけ3年がかりでこつこつと執筆し、ようやく完成。
 自著なのに発行後2ヵ月もしてからこのブログで紹介しているくらいだが、出版社では宣伝もしてくれている。例えば、大学生協の全国版カタログ(2月号)のおすすめ書籍に載っているよ、と教えてもらったときにはびっくりした(が、東工大すずかけ台生協には置いてなかった・・・。大岡山の生協には置いてあったが)。また、とある大手書店では表紙が見えるような売り方で7,8冊陳列してあった(面出し、というらしい)。

以下、宣伝用に書いた文章。
生命科学は生活に密接に関係しています。「生命とは何か」から「人工的に生命は創れるのか」といった最先端の話題までを解説します。
遺伝子、ゲノム解析、病気や薬に関する研究など、生命科学は私たちの生活に密接に関係しています。これからますます発展していく生命科学の知識を持つことは、現代人にとって必須といえるでしょう。本書は、「生命とは何か」を考えることからはじめ、「細胞」や「タンパク質」、「代謝」、「DNA」、生活に大きな影響を与える「健康と病気」、「人工的に生命は創れるのか」といった最先端のテーマまで、丁寧に解説していきます。
 ということで、本ブログで紹介してきたタンパク質関連というより、もっと広く生命科学全体を貫く入門書となっている。目次は以下の通り。
第1章 「生きる」ってどういうことだろう?
第2章 細胞の中を覗いてみよう
第3章 生命を支えるタンパク質の世界
第4章 細胞はエネルギーをどう生み出すか?
第5章 生命の設計図DNA
第6章 健康と病気の生命科学
第7章 生命は「創れる」のか?
ちょっと読んでみたい方には、ネットで一部だけ「立ち読み」ができるのでどうぞ(Amazonの「なか見!検索」→こちら)。

 文章のトーンは通常の教科書的というより、このブログのような感じだ(ただし「ですます」調)。全体としては高校の生物の教科書レベルよりやさしめだと思うが、部分的にやたらと細かいかもしれない。例えば、タンパク質のフォールディングは妙に詳しい・・・。

 本ブログを読んでいる生命科学に関わる方々にはほとんどが常識として知っている内容だと思われるが(後半やコラムは最新のトピックスもあり)、理系でないご家族などに自分たち研究者のやっていることを理解してほしい、と思っているような場合には、ぜひご推薦いただければ幸いである。

発売後に何人かの方(主に文系)から感想などいただいた。

・コラムが面白かった。
・ 第6章に出てくる手塚治虫の「火の鳥」の話しとの関連がよい。
・研究者しか知らないちょっとした小ネタが入手できた。
・後半は難しく読み進められなかった・・・。

などなど。

どうです、読んでみたくなったでしょう?(笑)
絶賛発売中です!

2013/04/13

「進化」を体現した消しゴム

 昨年のエントリーにていくつか海外出張時に仕入れたネタを披露したが、まだ残っていた。一見、今までと微妙にちがう路線である。

 進化のネタである。

 人類の進化を一つの消しゴムで体現した一品だ。まずは写真を見てもらおう。サルが片側。ひっくり返すとヒトとなる。

 



 このサルとヒトが下の図のようにつながっているのだ。


なかなかにしゃれたモノである。ミュンヘンのミュージアムショップで見つけたが、日本のデザイナーが作ったもので、日英両方の説明書きが入っている。


説明書には含蓄のある文章が書いてある。

「失敗は進化のもと? 消せば消すほど進化していくのがEvolutionの特徴です。・・・」

実は、最近私たちの研究室では「進化」が重要なトピックスになっている。シャペロン研究とタンパク質の進化が絡んできているのだ。これについては、また日を改めて紹介したい。

それはともかくとして、消しゴムとしてどちらから使っていくかが悩ましい。なぜなら、ヒトから消していくと退化のようすを再現できるから・・・。

その後、国内でも何度か見かけたが、海外で買う半額くらいだったのが少し悔しい。



2012/03/30

細胞内のようすのイラスト・動画

このブログの自己紹介欄で、

「タンパク質が細胞内で活躍しているようすを個別にのぞくことで細胞内タンパク質ワールドを理解していきたい」

と書いているが、実際の細胞内でのタンパク質の世界はどのようなイメージなのであろうか。もちろんミクロやナノの世界なのでそのまま見ることはできない。しかし、今までの生化学的な知見(タンパク質濃度など)やタンパク質などの立体構造情報などを元に再現することは可能である。これに関してよく知られているのがDavid Goodsell博士(Scripps研究所、米国サンジエゴ)のイラストであろう。自分の研究発表のイントロでもよく使わせてもらっている。

例えば、大腸菌の中はこんな感じ(ネットに載せるにあたりGoodsell博士から許可取得済み)。タンパク質を含む生体高分子がひしめいているようすが実感としてわかるであろう。


© David S. Goodsell 1999.

個々のパーツは正確な構造情報を元に描かれている。紫色はリボソーム複合体。サイズはだいたい20nm程度だ。リボソームにくっついている細くて白いヒモは メッセンジャーRNA(mRNA)。青は他のタンパク質たちだが、右の方には、シャペロニンGroELとGroESも登場していてちょうど新生タンパク質を閉じ込めようとしている 瞬間を捉えている。黄色とオレンジは核様体部分(細いヒモはDNA)、というように観てきたかのようにリアルに描かれている。

他にも、Goodsellは思わず引き込まれるイラストを多数描いており、以下のサイトにて鑑賞可能である。
Molecular Art | Molecular Science Home of David S. Goodsell


ーーーー
さて、Goodsell氏のイラストは静止画であるが、実際の細胞内の分子は動的であり、タンパク質をはじめとする生体高分子が「うごめいて」いる。この細胞内動態の研究はまだまだこれからであり、自分たちでも追究しているが、計算によるシミュレーションで細胞内を再現しようという試みがある。昨年の海外出張で知り合ったElcock博士がYoutubeに投稿している動画を貼り付けよう(実際の原論文はPLoS Comput Biol. 2010)。


Youtube "Cytoplasm Full Energy Model" by Adrian Elcock et al.

この動画はかなり印象深いものである。実際、自分のプレゼンテーション時にこの動画を見せたあとにはほぼ必ず「あの動画はどこでもってこれるのか」と聞かれるほどだ。


2011/09/25

そろそろ復活?

 すっかりご無沙汰してしまっているうちに秋になってしまった。

書きたくなるようなネタがなかったというのは言い訳で、サボっていたのが正確なところだ。実際、仕上げを待っている下書きはけっこうたまっているのだ。

そろそろ復活せねばなるまい。その理由は以下の通り。

(1)学会などで久々に再会した方や初対面の方など思いがけない方々から、このブログを楽しみにしています、ということを聞いた。

(2)何人くらいがこのブログを見ているのか解析していて、自動で週間レポートがメールで届くようになっている。最近はそのメールを開くことすらしていなかった。更新してないんだから減っていくばかりだしなぁ、ということで・・・。

今日思い付いてこの一ヶ月ほどのを開いてみたら・・・。

なんと増えているではないか! しかも、つい最近のは今まで見たこともない数字が並んでいて驚いた。

理由は定かではないが、思いのほか読んでもらっていることは確かである。

再開せねばなるまい。


 写真は本文の内容と関係ないが、春に行ったEMBOミーティング(Grundlsee、オーストリア)での一枚。ザルツカンマーグートというザルツブルクからバスで2時間はゆうにかかる山と湖が織り成す美しいところだった。サウンドオブミュージックの舞台のそばということだ。

2011/05/04

ニュースレター第7号発行

ニュースレターの第7号が発行済みだ。

今回も盛りだくさんの内容だが、中でも目玉はPeter Walter博士インタビューであろうか。「Life is not linear」というタイトルで大いに語ってもらった。

目次はこちら(→ pc7_contents.pdf

表紙は昨年末に縁のあった東京芸大の学生さんの一人に書いてもらった。

興味ある方は、ぜひpdfパスワードの請求を。
(事務局メールアドレス→protein.community@gmail.com

2011/04/23

サイエンスカフェ

 すっかりこのブログをごぶさたしてしまった。もしときどき覗きに来てくれている人がいたならすみません。元々、日記的なブログではなく、ネタがあるときだけ、というスタンスではあるが、ちょっと間が空きすぎたかもしれない。実はネタもあって下書きまでできているストックはそこそこあるのだが、3月11日の地震の後はいろいろなことを考えさせられ、公開する気になれなかったということもある。

 3.11については表層的なことだけ書くと、東北地方への出張が取りやめになったり、ラボがしばらくは実験停止になったり・・・。震災の影響は過去形ではなくこれからがもっとたいへんなことになるのは確実だろうが、4月になってある程度は元の生活に戻りつつある。元気な新人も研究室にたくさん入ってきた。新学期のことについては別のエントリーにしよう。

さて、4月始めにサイエンスカフェで講師をする機会があった。

題して「タンパク質カフェ」。そのままのタイトルである。


 そもそもの事の始まりは、昨秋の東工大での「ものつくりバイオコンテスト(高校生バイオコン2010)」で審査員をした際、外部審査員として来てくださったサイエンスコミュニケータの蓑田さんに自分の研究の話しをしたのがきっかけである。話しの中で「タンパク質のフォールディングにまつわるパズルなんかを集めるのが趣味なんですよ」などと話したのが面白いと思ってくれたらしく、サイエンスカフェに誘ってくれた。

 事前に主催の蓑田さんらが東工大に来て打ち合わせをしたのだが、その際に写真も撮り、ポスターも作ってくれた。ここで示すように本ブログで紹介してきたパズルやおもちゃを散りばめたポスターである。

 参加者は理系に全く縁のない方も来るということで専門用語はできるだけ使わず平易に説明してください、とのこと。さらには、プロジェクタを使った講演会形式ではなく、紙芝居形式で大事なポイントを記した紙を10枚程度準備して10分くらい説明したら後は対話しながら進めてください、ということでいつもの学会発表などとはだいぶ勝手がちがうので始まるまではどうなるか少し心配であった(昨年末の芸大生相手のレクチャーは自分のペースで勝手にしゃべった)。
 
当日は、千駄木のこぢんまりとしたカフェで10数人を相手に話しをした。年齢や性別もいろいろで一番若い参加者は高校1年生!。男女比は女性が少し多いくらいだった。講師のぼくも含めてみながケーキを食べながらというのがまさにサイエンス「カフェ」。

 テーブルにパズルやおもちゃを適当に並べていじってもらったりしながら会はスタート。紙芝居の要領で図を見せたり、ポリペプチドもどきのおもちゃをいじったりしながら、タンパク質とは何かから話しを始める。会のようすも写真、あと、Twitter?(Togetter WEcafe Vol13)でまとめてくれている。

 基本的には芸大生向けの講義のときのような感じでできるだけかみ砕いて話していったつもりであるが、ところどころで進行役(ファシリテータと呼ぶらしい)のサイエンスコミュニケータの蓑田さんが、よりわかりやすくするための突っ込みを入れてくれる。また、会場からけっこう気軽に質問が出たりする。双方向性が高いのは、確かにふだんの講演や講義とはまったくちがう。何でもいいから質問してくれるのはうれしいものである。

 タンパク質についての説明のあとは、フォールディングの基礎原理(Anfinsenのドグマ)、シャペロン、プリオン、と結局は自分の専門になった。主催の蓑田さんからは、「個別の知識を知ってもらうのだけではなく、その背景にある科学的な思考を体得してもらえたら最高です」という課題をいただいていたが、さてどうだったか。途中からはぼくの説明が多すぎたかもしれない。とは言え、プリオンはやはり興味があるらしく、病気に関係するいろんな質問が出てすべては答えられなかった。

 時間にして2時間くらいがあっという間に終わった。結果として非常におもしろい体験だった。どんな質問が飛び出るかわからないという点で、ふだんの発表とはちがった緊張感もある。また、自分たちの研究を専門家以外にどう伝えるかというまたとないチャンスでもあった。
いずれまた機会があればぜひ参加して、一人でも多くの方々に自分たちの行っている研究の楽しさ、研究者の醍醐味を伝えてみたい。

2011/01/10

あけましておめでとうございます。


 珍しくラボ用に年賀状を作成した。と言っても印刷用ではなく、海外の知り合いにメイルの添付で送るために作ったものだ。考えてみたら昨春に東工大に移った(戻った)ということすら連絡していなかったのである。

 東工大に来て9ヵ月が過ぎ、ラボも落ち着いてきたと思うが、これもひとえに写真に写っているメンバーたちのおかげである。何もないところから始まるということを知っていながら参加してくれたメンバーのみなさん、ほんとうにありがとう。おかげで幸先の良いスタートを切れたと思います。
今年もよろしくお願いします。

と同時にこの不定期更新ブログを見てくれている方々もありがとうございます。日記風にするつもりはないので紹介したいネタがあるときだけですが、今後もどんどん載せていくつもりです。楽しみにしていてください。

2010/12/21

ARTODAY 芸術家の卵に蛋白質研究をレクチャー

 縁あって芸術を専攻する学生に生命と蛋白質に関するレクチャーを行った(詳細はこちら)。
 
 東京芸術大学の岩間賢さんが主宰するゼミの一環ということで、岩間さんと岩間ゼミ履修生10名ほどが東工大に来てくれて、まずはこのブログで紹介しているタンパク質パズル・おもちゃで少し遊んでもらい、そのあとで蛋白質についての講義を聴いてもらった。

 蛋白質研究と現代芸術に接点はあるのか、と思うかもしれない。自分自身「?」な部分があるのが正直なところだが、蛋白質の立体構造の美しさ、かたちのないところからかたちが形成される現象(つまりフォールディング)、かたちが機能を決定するという蛋白質の基本原理についてわかってもらえるよう、このブログのネタを随所に登場させたりして工夫したつもりである。(例えば、シャペロニン・ケーキ。これは思いのほか受けた)


 講義のあとには、うちのラボのメンバーにも手伝ってもらって簡単な実験(GFPの変性・再生実験→写真動画)をしてもらったり、GFP発現酵母や大腸菌を蛍光顕微鏡でのぞいてもらったりした。芸大の学生さんにとってはとても新鮮な体験だったようだ。


 最後に懇親会を行い、そこでは芸大の学生さんが持ってきてくれた作品ファイルを見せてもらった。一言で言えば、とても素晴らしかった。絵、インスタレーションの記録、映像作品、などなど。アートに詳しいわけではないが、一人一人がそれぞれまったくちがうスタイルで何かを表現していることはよくわかる。来てくれたのは油画専攻一年生ということでタイトルに「芸術家の卵」と書いてしまったが、大学以外ですでに発表の場を作っていたりもして、もはや立派なアーチストである。そのクオリティーの高さに非常に強い感銘を受けるとともに理系の実験系の学生ではこういう表現をすることはなかなかできるものではないな、とも感じた。

 これまでたまに美術館に行くことなどはあっても、作家さんと直接交流しながら作品を見るという機会はほとんどなかったので、アーチストさんが何を考えて作品を作っているか、その一端を垣間見ることができたと思う。アートとサイエンスで通じる部分もけっこうある。うちのラボの学生たちにも強い印象を与え、刺激になったことだろう。

 いずれにしてもとても楽しい時間を過ごさせてもらった。このような会を企画してくれた岩間さんに感謝である。岩間さんご自身、現代美術家であり、この企画の前にも会ってお話ししたり、作品を見させてもらって楽しませてもらっている。興味ある方は岩間賢さんウェブサイト(http://www.oh-mame.com)をご覧ください。
 

2010/10/25

ニュースレター第6号発行

 予定より一ヶ月遅れでニュースレターを発行しました。あいかわらず毎号難儀していますが、できあがるとうれしいものです。


 編集長という立場上、いろいろと小ネタを書いているのでこの機会に一部だけ公開することにしました。

1)コラム・書評の公開:このブログの以下のエントリーにあるように自分で書いたコラム、書評は公開することにしました(→こちら)。

2)目次の公開:pdfパスワードをご存じない方はどんな内容かもわからないかと思い、今回から目次のページだけは公開することにしました(ニュースレターダウンロードページ)。


目次を見て興味を持った方は事務局か編集長の田口までお気軽にご連絡ください。

2010/10/21

ニュースレターのコラム一覧を作りました

 科研費特定領域研究「タンパク質の社会」ニュースレターの編集をしていて、ページの埋め草にコラム、書評、学会レポートなどけっこういろいろと書いてきた。このニュースレターは論文未発表の内容などにも多々触れているために基本的にはクローズドの冊子であるが、自分の書いたコラムは田口研HPにまとめて載せることにした。

→ コラム一覧 URL:http://www.taguchi.bio.titech.ac.jp/paper/column/column.html

このブログの記事から載せたコラムもあるが、初出の内容も半分くらいはある。

2010/07/07

eSOL(蛋白質可溶率データベース)の拡張

 我々が行った大腸菌全タンパク質の凝集体形成傾向のデータ(Niwa et al. PNAS 2009, pdf)がeSOLというデータベース(DB)として公開されている。
 このたび、統合データベースプロジェクトの畠中さんのご尽力により、eSOLが蛋白質関連の統合DB(TogoProt)に登録された。



 この統合により、ある蛋白質に関するデータを多面的に調べたい方はバラバラに調べることなくまとめて情報を得ることができると期待される。

 (eSOLは大腸菌タンパク質だけなので検索時には、たとえば metk ecoliというようにecoliを付けてください)

2010/07/03

光るオワンクラゲ

 以前のエントリーで鶴岡出張の際に加茂水族館にてオワンクラゲを見てきた件について記した(「オワンクラゲ」2009/1/10)。その続きとして、先日、慶應大学先端生命科学研究所に用事があって鶴岡を訪れた際に、再度加茂水族館を訪ねたのでその顛末を紹介したい。


 前回唐突に訪れた際、精製したGFPを差し上げたところたいへんに喜ばれ、ニュースになるくらいであったが、残念ながら館長さんに会うことはできなかった。その後、加茂水族館ではオワンクラゲと一緒にGFPタンパク質そのものを展示したり、館長さんからは直筆の手紙や著作をいただくなどしていたのでぜひとももう一度伺いたいと思っていたところ、再び慶應大学(鶴岡)に行く機会に恵まれ、再訪することができた。

 今回は事前に連絡を入れておいたので、村上館長に会うこともでき、一般のお客さんには非公開の「クラゲ研究所」に案内していただいたり、直々にクラゲ生育の苦労話を教えていただいたりと楽しい時間を過ごした。最後にはクラゲの絵柄入りネクタイやタイピンまでいただき、たいへん満足して水族館を後にした。

 前回訪れた際にはオワンクラゲは「光ってなかった」が、今回はブラックライトに照らされて美しく緑に光るクラゲを見ることができたのもうれしかった(下のきれいな写真は、同行した卒研生が撮してくれた)。


 なお、前回の鶴岡訪問のきっかけとなった慶應大学との共同研究は実を結び、シャペロニンGroELの細胞内基質タンパク質をきちんと決めることができた(Fujiwara et al, EMBO J. 2010 日本語での解説は「タンパク質の社会」の成果欄を参照)。

2010/06/06

ニュースレター第5号発行

3月上旬に特定領域「タンパク質の社会」のニュースレター第5を発行した。


 5年間続く「タンパク質の社会」科研費特定領域(19-23年度)も折り返し点を過ぎ、今年度は9月に奈良で盛大に国際会議を開く。ということで、この号の表紙は奈良がモチーフである。

 編集はいつもぎりぎりのスケジュールであるが、今号は自分の異動とも重なったために発行が危ぶまれるほど(ほんとに)大変だったが、何とか年度内に発行できホッとしている。関係者のご協力に感謝いたします。

2010/04/05

東工大に移りました!

4月1日より東京工業大学に移りました(生命理工学研究科生体分子機能工学専攻・教授)。

 東大・新領域に移ってから6年半で母校に戻ってラボを主宰できることになり、気持ちも新たに張り切っていきたいと思います。

 東大からは野間さん、丹羽君も付いてきてくれることになり心強い限りですし、着任早々、東工大の卒研生4人が配属になりました。他にも野島君(京産大・吉田賢右研)も田口研に参加してくれることになっています。

 3月末にラボの引っ越しをしてまだ数日で段ボールだらけの中です。そんな中、研究室発足パーティーの前にメンバーみなが集まってセットアップ途中の各部屋や桜が咲く道の前で記念撮影を行いました。

 さらには、記念に残る写真にということでホワイトボードに何か書いてくれ、と言ったら、「田口研発足」という以外にも楽しい絵をいっぱい描いてくれました。左下の「婦人」は書いてくれた卒研生のもつ「シャペロン」のイメージだそうです。酵母、プリオン、フットボールもあります。何年かして何周年かのときにはまたちがった絵が描けるよう新しいことにもチャレンジしていきたいな、と思います。

2009/12/24

シャペロニン vs. F1-ATPase

タイトルはマジメ(?)だが、何のことはないケーキでの勝負である。

 恩師の吉田先生が昨年度末で東工大を退職ということで同窓会が催され、その会のメインイベントの一つとして出されたのがこれらのケーキ。同窓生有志(大阪大学・野地研の田端さん、上野さん、野地さんら)が事前にシフォンケーキからして手作りで作った大作だ(ぼくはアイディアは出して企画段階では関わったが、制作段階ではシャペロニンの方の生クリームを塗ったくらいです)。

 我らがシャペロニンGroELはGroESが一つ結合した弾丸型構造を模している(右上写真)。基質タンパク質と見立てるお菓子のヒモが少しはみ出ているのも意味深いのだが、それにはここでは触れない。


 一方、左に載せたF1-ATPaseはα3β3の6つのサブユニットの間に回転子γ(ガンマ)サブユニットと見立てるフランスパンが突っ立っている。

このF1-ATPaseにはとてつもない仕掛けがほどこされている。何とこの「γ」フランスパンが回転するのである。



 右の写真を見てもらおう。台座にモーターが仕込まれており、「γ」フランスパンと直結している。モーターには当然スイッチが付いているというわけだ。ご丁寧にスイッチは回転が切り替えられるようになっており、ATPの分解方向、合成方向が指一本で制御可能なハイテクだ。




 宴たけなわにて、このケーキたちの登場とあいなった。F1ケーキにはなんとジェット風船が装着されている。まさにF1-ATPaseの回転の可視化である。

 吉田先生によるスイッチオンでクライマックスに達し、集まった同窓生一同の度肝を抜いたのは言うまでもない。




 「回転」を実感してもらうという意味で、やはり動画を見せないことにはおさまらないであろう。(以下のリンクもしくは写真をクリック)


ということで勝敗はあっという間に決し、F1-ATPaseの圧勝である。

 いや、野地研の技術力にはおそれ入りました。おかげでぼくも含めて集まった皆がたいへん楽しめました。

(このネタ、いつか載せようと思いつつ半年以上経ってしまい鮮度が落ちてしまいました・・・)

以下 、おまけの制作風景です。GroELは円筒形のシフォンケーキなので空洞もきちんと空いている。フタのGroESはメロンパンである。