2014/05/17

アメリカから届いたパズル

 このブログを読んでいる方からときおりメールが届くことがある。うれしいことで大いに励みになる。

 そして、今回は何とパズルが届いた。しかも、アメリカから!

と言っても、直接郵送されてきたのではない。ポートランドでポスドクをしている石川善弘さんが、Cold Spring Harbor Laboratory(CSHL)でのシャペロンミーティングに参加したうちのラボの丹羽助教に託してくれたのだ。
感激しました!

 写真はCSHLのショップの中のようだ。ここで仕入れたネタは以前紹介したことがある(→狂牛病の実体?)。CSHLは分子生物学の聖地の一つと言ってもいいところだ。今も2重らせんのワトソンとCSHL内で会えるらしいし(実際、学生で参加した奥田さんは会ったらしい)、会場前には燦然と輝くDNAダブルヘリックスのオブジェがそびえている。タンパク質科学者としては、リボソームから新生ポリペプチド鎖(新生鎖)が合成される途上およびフォールディングしたあと、の作品がうれしい(→The Waltz of the Polypeptides)。奥まったところにあるのがちょっと不満だが・・・。

 本来はぼく自身、今回のCSHLミーティングに行くつもりで申し込みまでしたのだが、国内でやむを得ない用事ができてキャンセルした。


パズルは竹製の立体パズル。
壊す途中。


6つのピースに分かれる。


またコレクションが一つ増えました。
石川さん、どうもありがとうございました。 いずれ、どこかでお会いしましょう!





2014/03/09

新著紹介「学んでみると生命科学はおもしろい」

 突然だが、1月末に本を出版した。

学んでみると生命科学はおもしろい

 これまでにも専門家向けには共著や編著ということで出版してきた経験はあるが、今回は一般の方々に届けたい内容かつ単著である。ベレ出版の「学んでみると○○学はおもしろい」というシリーズ本の一つとして、編集者からお声がかかり、足かけ3年がかりでこつこつと執筆し、ようやく完成。
 自著なのに発行後2ヵ月もしてからこのブログで紹介しているくらいだが、出版社では宣伝もしてくれている。例えば、大学生協の全国版カタログ(2月号)のおすすめ書籍に載っているよ、と教えてもらったときにはびっくりした(が、東工大すずかけ台生協には置いてなかった・・・。大岡山の生協には置いてあったが)。また、とある大手書店では表紙が見えるような売り方で7,8冊陳列してあった(面出し、というらしい)。

以下、宣伝用に書いた文章。
生命科学は生活に密接に関係しています。「生命とは何か」から「人工的に生命は創れるのか」といった最先端の話題までを解説します。
遺伝子、ゲノム解析、病気や薬に関する研究など、生命科学は私たちの生活に密接に関係しています。これからますます発展していく生命科学の知識を持つことは、現代人にとって必須といえるでしょう。本書は、「生命とは何か」を考えることからはじめ、「細胞」や「タンパク質」、「代謝」、「DNA」、生活に大きな影響を与える「健康と病気」、「人工的に生命は創れるのか」といった最先端のテーマまで、丁寧に解説していきます。
 ということで、本ブログで紹介してきたタンパク質関連というより、もっと広く生命科学全体を貫く入門書となっている。目次は以下の通り。
第1章 「生きる」ってどういうことだろう?
第2章 細胞の中を覗いてみよう
第3章 生命を支えるタンパク質の世界
第4章 細胞はエネルギーをどう生み出すか?
第5章 生命の設計図DNA
第6章 健康と病気の生命科学
第7章 生命は「創れる」のか?
ちょっと読んでみたい方には、ネットで一部だけ「立ち読み」ができるのでどうぞ(Amazonの「なか見!検索」→こちら)。

 文章のトーンは通常の教科書的というより、このブログのような感じだ(ただし「ですます」調)。全体としては高校の生物の教科書レベルよりやさしめだと思うが、部分的にやたらと細かいかもしれない。例えば、タンパク質のフォールディングは妙に詳しい・・・。

 本ブログを読んでいる生命科学に関わる方々にはほとんどが常識として知っている内容だと思われるが(後半やコラムは最新のトピックスもあり)、理系でないご家族などに自分たち研究者のやっていることを理解してほしい、と思っているような場合には、ぜひご推薦いただければ幸いである。

発売後に何人かの方(主に文系)から感想などいただいた。

・コラムが面白かった。
・ 第6章に出てくる手塚治虫の「火の鳥」の話しとの関連がよい。
・研究者しか知らないちょっとした小ネタが入手できた。
・後半は難しく読み進められなかった・・・。

などなど。

どうです、読んでみたくなったでしょう?(笑)
絶賛発売中です!

2014/01/20

4×4×4のキューブパズル

 最近、滞りがちのブログだが、いいネタが手に入った。例によって、出張先で見つけた一品だ。真冬のヨーロッパの街を歩いた甲斐があったというものである。


 一見、これまでに何回も紹介してきたふつうのキューブパズルに見えるかもしれない。

経路のちがうフォールディングパズル(2010.12.18)
ここで、これまで紹介した典型的なキューブパズルの写真を見てみよう。

もうわかるであろう。

今までのは一辺が3つからなる 3×3×3 なのに対して、今回のは 4×4×4 である。




今までのが 3×3×3 = 27 だったのに対して、今回のは 4×4×4 = 64「アミノ酸」ということになる。当然、キューブのかたちを崩して「変性」させたあと、元に戻す「フォールディング」は難しくなる。

以下、キューブを崩して「変性」させた状態。


途中まで戻した状態。


 と、自力で戻したわけではなく、購入時に付いてきた解法を元にしている。
 この解法が、実際のタンパク質のフォールディングにちなんでたいへん興味深い。

これまでの3×3×3パズルでは、片側から順にかたちを作っていけば完成するのだが、今回付いてきた解き方はちがう。最初は片側からかたちを作っていって塊を作ったあと、反対側からかたちをつくってもう一つ塊を作る。すると、下の写真のように二つの塊ができるので、この二つを合わせることで立方体となり完成だ。


 この写真のNとCの記号は何なのか、生化学を学んだ方ならすぐにわかるだろう。タンパク質になぞらえてみたのだ。

 タンパク質はアミノ酸がつながったヒモだが、細胞内のリボソームというタンパク質合成装置でつながっていくときには向きがある。最初のアミノ酸がN末端、最後がC末端と呼ばれる。これをこのパズルに当てはめる。最初に作っていくのがN末端側の塊(ドメインと呼ぶ)、後半の方はC末端側のドメインだ。

最後にできたキューブのどこに末端があるかというと次のようになる。


 実際のタンパク質の立体構造で、アミノ酸の数が少ないタンパク質では塊(ドメイン)が一つだが、アミノ酸が増えて長くなるにつれて、塊がいくつもに分かれてくることが知られている。塊が一つだとフォールディングも比較的簡単だが、塊が増えてくると塊ごとにフォールディングが進むと考えられているのだ。 

 このくらいのパズルでもフォールディング機構の一端を垣間見ることができるということである。

 街で一番大きいと思しきデパートのおもちゃ売り場にふつうに置いてあった。珍しかったので何個も大人買いしたかったが、一個しかなかった。

2013/10/06

プリオン線維もどきの積み木


 夏前の国内出張でいくつかのブログネタのおもちゃを入手したと書いて最初のを登場させてから、あっという間に2ヵ月も経ってしまった。

今回紹介するのは、めずらしくプリオン(アミロイド)線維もどきのおもちゃである。

小っちゃな積み木。一番長いところで3cmくらいである。

どうプリオン線維に似ているかというと、
こんな風に並べてみる。


 これが、とある酵母プリオンの論文 (DePace AH et al, Cell 93, 1241, 1998)の中のプリオンの模式図にそっくり。見てもらえば一目瞭然である。


ほぼ同じ形である。

ここでこの積み木から連想する酵母プリオン研究の謎の一つを。

 狂牛病のプリオン蛋白質は今のところPrP一種類しか知られていないが、出芽酵母(パン酵母)では十種類以上のプリオン蛋白質が既に見つかっている。しかも、おもしろいことに、機能もアミノ酸配列もちがう酵母プリオンはお互いに関係し合っているのである。

「関係しあっている」というのは、たとえばA, Bというプリオン蛋白質があったとき、Aがプリオン状態になっているとBもプリオン状態になりやすい、その逆もある、というような相関関係だ。

 そのメカニズムとして、異種間のプリオン線維がつながるというモデルがある。それが、上の写真で言えば、色違いのファイバーである。

実際には、酵母プリオンがプリオン状態になるには、シャペロン(Hsp104など)も必須なので事はそれほど単純ではないようだが、プリオンの増殖機構を考えるときに大切な知見であることにはまちがいない。





2013/07/30

マルチカラーのフォールディングパズル


 このブログのネタにできそうなパズルやおもちゃは海外出張時の街歩きのときに見つけることが多い。

 幾何学的なパズルの類を楽しむ土壌が日本にはないのかと寂しく思ったりすることもあるが、最近出かけた国内出張先ですばらしいお店に遭遇した。木製玩具を扱う個人経営の小さなお店だ。

 外観は幼児向けっぽい玩具店だったが、中に入って一瞬で、すばらしい品揃えであることがわかった。しばらくは子供に交じって大の大人が一人黙々とあれやこれやとおもちゃをいじり、結局かなりの大人買い。右上の写真は購入した一部。少しずつ紹介していこう。

 まず今回は定番のフォールディングを模したパズルから。

 これまでにも最終的に立方体にする木製パズルはいろいろと紹介してきた(例えば、「経路の違うフォールディングパズル」など)。今回見つけたのもそれらに似ているが、もう少し自由度が高く、しかもパーツひとつひとつの色がちがっていて美しい。



パズルとしては簡単だが、 よりタンパク質らしいかもしれない。以下、崩した「変性」状態。


今まで使ってきたパズルと一緒の写真。


日本国内であまり見つけられないのは、単にふだん街を歩いていない、歩くとしても同じようなところしか歩かない、ということかもしれない。

知らない街をアテもなく歩きながら思わぬよい店に巡り会うのはやはり楽しい。研究活動でも似たようなことがたまにある。

2013/07/27

シャペロニンの模型が手元に!

 1年ほど前の本ブログエントリーにて、柔らかく透明でリアルなタンパク質模型について紹介した。北陸先端大の川上勝さんが3Dプリンターをうまく活用した作成法を考案したすばらしい模型である。

「柔らかくて透明なタンパク質模型(1)」
「柔らかくて透明なタンパク質模型(2)」

あるミーティングでこの模型を一目見て感動し、川上さん経由で小さなタンパク質をいくつか特別に注文してラボに置いていた。小さなタンパク質というのはリゾチームとリボヌクレアーゼなどである。この両者の模型だけでも存在感を放っていて満足していたし、このブログを見たある方が「川上タンパク質モデルをぜひ生で見たい」ということで部屋に来てもらったこともあるくらいだ。

とは言え、シャペロニン屋としてはもちろんGroELとGroESがほしい。実際、川上さんは試作品の一つとしてGroEL14量体、GroES7量体を作っていて、実物を見て「いいなぁ、いつかは・・・」と思ってはいた。ただ、小さなタンパク質の単量体でも気軽ではなかったので、14量体、7量体となると手が出なかったのである。

が、夢はかなった。




川上さんから連絡があり、GroEL、GroESの模型を貸し出してくれることになったのだ。

ぼくのところにふだんは置いておき、講義を始めとしたタンパク質科学の紹介(サイエンスカフェなども含めた種々のアウトリーチ活動)でぼくが使うのはもちろんのこと、さらには希望する方に貸し出してどんどん活用してもらうという約束である。

20年来シャペロニンGroELの研究をしている一人としては実にうれしい申し出である。

すぐに届けてくれて部屋のテーブルに置いてある。その存在感はすばらしい。
写真で7量体など全部つながっているが、実際には簡単に個別のサブユニットにばらせる。この模型は実によくできていて、磁石でサブユニットの接触部位がつながるのだ。
質感や一部をバラしたようす、組み上げるようすは川上さんが作成したYoutubeの動画でわかる。


リアルなのでGroELの作用機構に関する新しいアイディアも湧いてきそうだ。

ということで、見たい方、何かのイベントなどに使ってみたい方はぜひコンタクトをとってください。

この「川上モデル」模型は昨年の公開のあと、たいへん評判がよく、さまざまなメディアで取り上げられていたり、さらには別の3D模型に展開している。興味のある方は以下を参照してほしい。もしくは直接川上さんに連絡を取ってください(川上さんツイッター kmasaru426)。

・バクテリアの3D模型 → 科研費新学術「運動超分子マシナリー」ウェブサイト
・分子模型のオンラインショップ 「SilMol

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 以下はおまけで、リングとリングを分割(スプリット)させた。(→参考 Taguchi H.et al., J. Biol. Chem. 1997


他のものと一緒にするとその大きさの感じがわかってもらえるかもしれない。


2013/05/06

新しいメンバー

 春になり、新人が研究室に入ってきた。研究室サイトのメンバー欄を更新した。

以下、ふつうの写真。


 以下、ふつうじゃない写真。
 学生たちのアイディアで飛んだり、散ったり。加工もお任せで、隠れキャラがいたりする。



 今年もがんばりましょう!