事務局を仰せつかっている科研費特定領域「タンパク質の社会」の大イベントが今年開催される。奈良にて国際会議が開催されるのである。
詳細は会議専用のウェブサイト(→こちら)をみていただきたいが、関連分野のトップサイエンティストが勢揃いである。刺激的なミーティングになるのはまちがいなく、今から楽しみだ。
ちなみにポスターは業者に依頼して作ったのではなく全部自作である。早い段階で「とりあえず」作った(作らされた?)のがそのままアップデートされて出回っている。
2010/06/27
「タンパク質の社会」国際会議(奈良、2010/9/13-9/16)
2010/06/06
ニュースレター第5号発行
2010/04/05
東工大に移りました!
4月1日より東京工業大学に移りました(生命理工学研究科生体分子機能工学専攻・教授)。
東大・新領域に移ってから6年半で母校に戻ってラボを主宰できることになり、気持ちも新たに張り切っていきたいと思います。
東大からは野間さん、丹羽君も付いてきてくれることになり心強い限りですし、着任早々、東工大の卒研生4人が配属になりました。他にも野島君(京産大・吉田賢右研)も田口研に参加してくれることになっています。
3月
末にラボの引っ越しをしてまだ数日で段ボールだらけの中です。そんな中、研究室発足パーティーの前にメンバーみなが集まってセットアップ途中の各部屋や桜が咲く道の前で記念撮影を行いました。
さらには、記念に残る写真にということでホワイトボードに何か書いてくれ、と言ったら、「田口研発足」という以外にも楽しい絵をいっぱい描いてくれました。左下の「婦人」は書いてくれた卒研生のもつ「シャペロン」のイメージだそうです。酵母、プリオン、フットボールもあります。何年かして何周年かのときにはまたちがった絵が描けるよう新しいことにもチャレンジしていきたいな、と思います。
2010/01/16
「柏キャンパスライフ」と富士山
新領域のサイトを見ていたら、柏キャンパスにいる学生による「柏キャンパスライフ」のページがあることがわかった。
キャンパス内のことだけでなく周辺のお店のことや住環境などけっこう細かく書かれているので、東大の柏キャンパスってどんなところ?って思っている方々はぜひどうぞ。
http://noc.k.u-tokyo.ac.jp/campuslife/
また、これを読んでいる柏キャンパスにいる学生さん、この「柏キャンパスライフ」に柏での生活に関する記事・エッセイを書いて採用されると原稿料として3000円もらえるそうです(記事・エッセイ募集)。ぜひ寄稿してみてください。
ついでにぼくからの柏キャンパス情報を一つ。
空気がきれいな日にキャンパス内から富士山が見えるのはご存じでしょうか。写真は夕陽が沈むころに、キャンパスの東の外れ(総合研究棟の前あたり)を歩いていて出くわした富士山のシルエット。携帯電話のカメラなんでイマイチですが、実際には見惚れるくらい美しい眺めでした。キャンパス内を東西に貫くメインストリート(図書館前を通る道路)の西の延長上(ローソンの看板とかぶる位置)に富士が見えます。
ちなみに少し高いところからだと北東の方に筑波山が見えるのはキャンパスにいる多くの人がご存じだと思います。こちらは位置的には近い印象だからそれほど意外性はないかもしれません。
2010/01/03
Foldit: タンパク質フォールディングを実感できるゲーム
ふと気になって「タンパク質 パズル」という検索をした。本サイトの記事は11位にランクインされたが、上位の10位まではすべてが「Foldit」というタンパク質フォールディングのゲームにリンクされていることが判明した。たとえば、こんな感じ。
タンパク質パズルで医療に貢献、米大学がゲーム開発
ワシントン大学は、時間のかかるコンピュータシミュレーションに人間の直感力を取り入れようとしている。
(ITmedia news 2008年05月09日)
本ソフトはブラウザー上で行うのではなくアプリケーションをダウンロードして実行する(Windows XP/Vista, Intel Mac, Linuxに対応)。オフラインでも遊べるが、基本はオンラインでデータを開発元のサーバとやりとりするようになっている。
Foldit http://fold.it/
まずはイントロ的なパズルで練習を積んだ後に本格的なタンパク質のフォールディングを行うということになっている。実によくできていて、マウスでポリペプチドの側鎖や主鎖をつかんで動かしたりして遊びながら、フォールディングの基礎を学ぶことができる。例えば、側鎖同士が近すぎると立体的な反発が生ずるのでマイナス点、うまく離すと「Congratulations!」・・・。他にも、疎水側鎖を内側に隠すコアとか、主鎖を折り曲げてタンパク質内の隙間をなるべく小さくするとかイントロパズルで練習できる。
開発者の中には、人工タンパク質のデザイン、フォールディング予測など計算によるタンパク質研究で飛ぶ鳥を落とす勢いのDavid Bakerが加わっている。サイトの解説によると右の図のようにBaker博士が専門家として「助言」もしてくれるようだ。
さて、まだイントロ的なところを遊んでいるだけだが、サイエンスパズルと称する本丸はかなり本格的である。というより、今まさにBakerラボで予測している構造未知タンパク質がパズルとして出されているのである。そして、そこにこのゲームの目的がある。サイトの科学的背景のページから引用すると、
Foldit attempts to predict the structure of a protein by taking advantage of humans' puzzle-solving intuitions・・・.
ということで、人間のもつ「パズルを解く直感」をタンパク質の立体構造予測に使おうというもくろみだ。実際、BakerラボではRosettaというタンパク質構造予測アルゴリズムを使って構造予測をしているが、このFolditの位置づけはインタラクティブなRosettaというものらしい(このRosettaを個人のPCでも少しでも計算しようというのがRosetta@homeである。日本語解説有り)。
とは言え、本番の問題はおそろしく難しそうだ。側鎖を良さそうな方に動かしたら別の相互作用に取って不都合が生じるという「あちらを立てればこちらが立たず」状態にすぐ陥る。すべての相互作用を矛盾なく(郷信広博士が最初に提唱した「consistency principle」)安定に仕上げるのは至難の業であるのがすぐにわかる。
Rosettaで人の直感をどう使うのかはよくわからないが、このゲームが公開されてから1年くらいの間にコンピュータよりすぐれた結果を出した「直感」をもつ人が現れたのか気になる。
ふだんタンパク質の立体構造は完成型を眺めるだけだが、このソフトでは自分でいじれるのが楽しい。
オンラインで個人のPCのCPUを集めてフォールディングシミュレーションするものとしてはRosetta@homeよりもFolding@homeが知られているかもしれない。興味ある方はこちらもどうぞ。
2009/12/24
シャペロニン vs. F1-ATPase
タイトルはマジメ(?)だが、何のことはないケーキでの勝負である。
恩師の吉田先生が昨年度末で東工大を退職ということで同窓会が催され、その会のメインイベントの一つとして出されたのがこれらのケーキ。同窓生有志(大阪大学・野地研の田端さん、上野さん、野地さんら)が事前にシフォンケーキからして手作りで作った大作だ(ぼくはアイディアは出して企画段階では関わったが、制作段階ではシャペロニンの方の生クリームを塗ったくらいです)。我らがシャペロニンGroELはGroESが一つ結合した弾丸型構造を模している(右上写真)。基質タンパク質と見立てるお菓子のヒモが少しはみ出ているのも意味深いのだが、それにはここでは触れない。
一方、左に載せたF1-ATPaseはα3β3の6つのサブユニットの間に回転子γ(ガンマ)サブユニットと見立てるフランスパンが突っ立っている。
このF1-ATPaseにはとてつもない仕掛けがほどこされている。何とこの「γ」フランスパンが回転するのである。
右の写真を見てもらおう。台座にモーターが仕込まれており、「γ」フランスパンと直結している。モーターには当然スイッチが付いているというわけだ。ご丁寧にスイッチは回転が切り替えられるようになっており、ATPの分解方向、合成方向が指一本で制御可能なハイテクだ。宴たけなわにて、このケーキたちの登場とあいなった。F1ケーキにはなんとジェット風船が装着されている。まさにF1-ATPaseの回転の可視化である。
吉田先生によるスイッチオンでクライマックスに達し、集まった同窓生一同の度肝を抜いたのは言うまでもない。
「回転」を実感してもらうという意味で、やはり動画を見せないことにはおさまらないであろう。(以下のリンクもしくは写真をクリック)
ということで勝敗はあっという間に決し、F1-ATPaseの圧勝である。
いや、野地研の技術力にはおそれ入りました。おかげでぼくも含めて集まった皆がたいへん楽しめました。
(このネタ、いつか載せようと思いつつ半年以上経ってしまい鮮度が落ちてしまいました・・・)
以下 、おまけの制作風景です。GroELは円筒形のシフォンケーキなので空洞もきちんと空いている。フタのGroESはメロンパンである。

2009/12/23
フットボール型ケーキ
かなり古い話題になってしまったが、今年のぼくの誕生日にラボでお祝いをしてもらった際、メンバーたちが二種類ケーキを作ってくれた。ケーキでお祝いしてくれるだけでもたいへんうれしいことだが、今回はさらにおまけがついた。なんと、研究テーマに関連した「かたち」にケーキを仕上げてくれたのである。
一つはシャペロニンGroEL/ES複合体のフットボールを模したケーキ。真ん中の四角いところがGroELのダブルリングで、上下の三角がGroESである。ちなみにフットボール複合体は研究者によっては「Symmetric complex」ということもあるように上下で対称のかたちになっている。イメージを伝えてケーキ屋さんに加工してもらったということだ。
このような楽しい企画を考えてくれたメンバーに感謝したい。
なお、この「シャペロニン」ケーキが、次に紹介する吉田研同窓会でのメインイベント「回転するF1ケーキ」につながったことを付記しておきたい。
2009/12/13
寄木細工の「プリオン」

前置きが長くなったが、上で紹介した寄木細工のキーホルダーを見て、思わず「プリオンだ!」となったわけである。アミロイド研究者なら、これをアミロイドと見立てるかもしれない(実際、プリオンとアミロイドの境界は明確ではなく、最近の知見では「プリオン=増殖しやすいアミロイド」というようになってきている)。
2009/11/22
変性タンパク質もどき消しゴム?
2009/11/15
7量体リングのシャペロニン(GroEL)入手!
1年ほど前のこの欄に「8量体シャペロニン?」と題した投稿をした。先日の海外出張の途中で自分の専門である7量体シャペロニン、つまり真正細菌型シャペロニン(GroEL)に類したおもちゃを見つけたのでここに紹介したい。
背景としては、シャペロニンは進化的に見て大きく二つ、真正細菌型GroELと真核細胞(グループ2)型CCTに分類される。CCTは8つの異なるサブユニットからなるリングが二つ重なったタンパク質で、以前紹介したのは「8量体もどき」であった。自分の専門はGroEL型であり、こちらは7量体(が重なったダブルリング構造)であるので実は「これが7つだったらなぁ・・・」と思っていたのが正直なところであった。
その想いが通じたのか、パリの街を歩いているときに露天商が売っているこのおもちゃを見て、「サブユニット」を数えたときにはうれしかった。7つだったからだ。
その露天商はその場で針金とペンチを使ってこれを組み上げていた。インドから来ているという彼いわく「一つ作るのに2時間かかる」、「これはインド発祥なのだ」とか。出来もいいので、迷わず価格交渉を行い、色違いを3つまとめて購入(GroELを研究しているメンバーへのおみやげとした)。そのインド人はなぜぼくが3つも購入したのか不思議だったかもしれない。
なお、最初に見つけた「8量体」の方がサイズが大きく、「7量体」は小さい。

こういうおもちゃやパズルはなぜか海外で見つかることが多いのが、少しさみしいような気もしないでもない。大きい方は日本の知育玩具のお店で見つけたものである。研究室の一般公開や講義の小道具にもうってつけの一品。シャペロン研究者ならぜひ入手してもらいたいものである。 (「パワーオーブ」で検索すると出てきます)
(一部、「タンパク質の社会」ニュースレターのコラムより抜粋)
2009/11/08
ニュースレター第4号発行
10月上旬に特定領域「タンパク質の社会」のニュースレター第4号を発行した。
他にもいつものように関連シンポジウムなどのレポート、海外留学記なども載せてある。読みたい方は事務局(protein.community@gmail.com)まで連絡をください。ウェブ版PDFのパスワードを教えます(もしくは発送リストに載せます)。
2009/08/25
eSOL: 大腸菌全タンパク質可溶性データベース
シャペロンがない状態で大腸菌の全タンパク質(4000種類強)を個別に試験管内で合成して、凝集体になりやすいかどうかを網羅的に調べた(Niwa, T. et al., PNAS 2009 → pdf)。この結果はベーシックなタンパク質科学としてたいへんに興味深い知見(タンパク質には凝集になりやすい集団とそうでない集団の二つに分かれる、などなど)があったのも重要だが、実用的な意味でも今後貴重なリソースになると考えている。実際、バイオインフォマティクスの研究者を中心に予想以上に反響があって、うれしい限りである。
ただ、論文では統計的にしか結果を示していないので、個々のタンパク質が溶けやすいのか、凝集になりやすいのかは論文を見ただけではわからない。
そのようなこともあって、国立遺伝学研究所の専門家にウェブで検索可能なデータベースを構築してもらうことになり、既に公開されているのでここでも紹介しておきたい。
eSOL (Solubility database of all E. coli proteins)
http://www.tanpaku.org/tp-esol/
みなさんぜひお使いください。
使い勝手などで要望などありましたら、どうぞお気軽にコメントをお寄せください。
2009/03/30
ニュースレター第3号
3月末に特定領域のニュースレター第3号を発行した。
2009/03/29
地図合わせパズル

以下で少し珍しい色合わせパズルを紹介した。そのときに一緒に購入したのがこの地球儀型パズルである。
地球儀に切れ目が見えると思うが、そこの一部がルービックキューブのように回転するようになっていて、配置が崩れて元に戻すという代物だ。
表面は紙で、動きはぎこちない。なので、あまり動かしすぎると表面がすぐにはがれてきそうで今のところ元の地球の配置のままである。
なお、この地球儀パズルも含めて、下のレインボーキューブや「光学異性」ペン、その他を購入していた近所の店が3月で閉店するということでかなり残念。この地球儀パズルとレインボーキューブは前から店にあることは知ってはいたが、そうやって見ている人ばかり多かったのかもしれない。他にも見ていてほれぼれとする芸術品の積み木(たとえばネフ社)などを置いていたが、かなり高かったからなぁ。
レインボーキューブ
80年代初頭に一世を風靡したルービックキューブがまた息を吹き返し、その流れを汲むパズルが多数世に出回っている。
ここで紹介するのはその一つで名前はレインボーキューブ。フォールディングというわけではないが、カラフルで美しいので思わず購入した。
説明書によると「理化学研究所が結晶構造をモデルとして開発した色合わせパズル。他の色合わせパズルとの大きなちがいは回転軸が4本あることです」ということでである。
難しく言うと「面心立方最密充填構造」というらしく、この構造をとる金や銀などがやわらかくて延伸性があって加工しやすいのは滑り面が多いかららしい。
がちゃがちゃ動かしてばらばらの色にしたのが下の写真。
ランダムになったらなったでかなり美しい・・・ので直す気にならない??
研究室ジグソーパズル
2009/03/28
どこで見つけるの?

フォールディングでもシャペロンでもプリオンでもない(笑)が、単に見ていて気に入ったので買った木のおもちゃ。
これを買ったのは先日行った神戸市某区での科研費特定領域の会議の後である。その会議にてある方が、「ホームページにいろんなパズルやら何やら載せているが、どこで調達するのか?」と質問してくれた。「どこと決まっているわけではないけど、最近は近所の知育玩具のお店ですかね・・・」なんて話していた翌日の帰り道にこの亀?のおもちゃと下のポリペプチドもどきを買った。ちなみにTさん、駅のすぐ横の売店です。
この亀さんは実は静止画だと良さがフルには伝わらない一品である。動かすと上に乗っかっているカラフルな玉が一緒に回りとてもキレイというかかわいいのだ。いつか思いだしたら、動画を撮ってアップしたい。
2009/02/20
「分子シャペロンの基礎」がオンラインで読める
もうかれこれ10年近く前だが、東工大時代に吉田先生と一緒に「分子シャペロンの基礎」という総説を「分子シャペロンによる細胞機能制御」(2001、シュプリンガーフェアラーク)に書いた。この内容は吉田賢右研究室ウェブサイト(現・京都産業大学)のシャペロンの解説記事の元ネタであるが、「原典」の3分の2程度がオンラインで読めることが判明した(→こちら)。Googleに「ブック検索」というコーナーがあり、そこで引っ掛かってきたのだ。基本的にはプレビューということだが、この総説の肝心なところは幸いカバーされているので、これを読んでいる「シャペロンって何」って思っている方々はぜひ読んでください。
この総説はシャペロン入門とでも言うべきもので、「教授」が研究室見学に来た「学生」にシャペロンとは何かを対話形式で説明していくというスタイルである。その二人以外にも研究室の「院生」がちゃちゃを入れながら話が進んでいくのだが、この対話形式は話の展開がしやすくてなかなか書きやすかったのを覚えているし、かなり好評を博した(主に同業者間ですが・・・)。ほんとうは新たに書き直した「シャペロンの基礎2009」みたいなのを作りたいが、なかなか余裕がないのが残念・・・。
2009/01/10
オワンクラゲ
GFPについて11/6に少し書いて、それは次のネタへの伏線・・・と書いた後、更新をさぼっていた。
で、先日(と言ってももう10月下旬)、慶応大学の鶴岡キャンパス(山形県)に共同研究で行く用事があったので、そのついでに加茂水族館に立ち寄ってきた。オワンクラゲを一目見たいと思ったのだ。
以下は余談。
2009/01/03
光学異性ペン(左利き用ペン)
ウェブだけ読んでいる人には知るよしもないが、根っからの左利きである。左利きの人でも、字を書いたり、箸を持つのは右、という人が少なくないが、ぼくはどちらも左だ。
左利き関連の本やグッズにはふだんから興味ある。いっとき、左利きは早死にする、なんて説がきちんとした学術論文として載ったりしたが、そんな話題にもアンテナを張ってはいる(早死説は気になるところだが、反論もあるようだ。ちなみに、早死説の理由は、左利きはいろんなところでストレスがあったり、事故に遭う確率が高い、ということらしい)。あと、教員として試験監督を行うことがたまにあるが、そんなときに秘かに行っているのは左利き調査だったりする。最近は少しは多くなったのかと思いきや、せいぜい5%というところだろうか。
前置きはこのくらいにして、ここに紹介するのは左利き用のペンである。ふつうのペンや鉛筆には左も右もないが、こいつは少し凝っていて、人差し指と親指がはまる位置にくぼみがあり、それが左利き用と右利き用を分けている。鏡に写すと右利き用のになるということで、有機化学で言うところの「光学異性」というわけだ。
ペンの写真だけでは少しわかりにくいかもしれないので実際にペンを持った写真を載せてみる。
書き心地はまずまずかな。少し太めなのでサインを書くようなときにちょうどよい感じだ。 デザインや色合いも秀逸で、最初はそこにピンと来て手に取ってみようとしたら左利きと右利き用があるということに気付いた。ちなみにドイツ製(stabilo.com)。
左利きグッズで思い出すのは、学生時代に初めて行ったアメリカで、左利き専門のお店をたまたま見つけたときのことだ。こんな店があるんだ、とうれしくなり、小さい店だがくまなく楽しませてもらった。欧米には左利きの人が多いから(というより矯正されないからだと思うが)マーケットとして成り立つのだろうか。 そこでは、左利き用ハサミなるものを購入した。ハサミの刃の付き方も「光学異性」の関係にある。他にもナイフなんかに左だと切りにくいものがあったり、お茶を入れる際の急須も左ではまともに使えない代物だったりするのは右利きの人には知らない世界だろう。
さて、良い物を買った、と帰国して使ってみたところ・・・、なんとまっすぐに切れない、のだ。左利き用なのに何事か、と思って考察した結果は次のようなものだ。 本来なら使いにくいはずの右利き用の道具なのだが、それに順応してしまっているので、左利き用でもふつうの右利き用の手の動きをしてしまってうまく切れない。
何とも面倒なことだ。 左利き用ハサミは以来全然使っていない・・・。
2008/11/29
Switch Pitch :瞬時の構造転換
若きシャペロニン研究者より構造変換をする興味深いおもちゃを教えてもらったので紹介したい。
スイッチピッチというもので、放り上げたりしたあとに色がすべて入れ替わる。右の写真では緑が前面になっていて裏にオレンジが見えているが、放り上げて落ちてくる間にオレンジが表に出てくる、という不思議な仕掛けのおもちゃで、一瞬手品のようでもある。
非常に動的な変換だから写真ではなかなかわかりにくいのでユーチューブ(たとえばココ)や開発元(hoberman.com)での動画やアニメを見るとおもしろさが伝わると思う。構造転換のメカニズム(要はからくり)は、遷移状態(途中の状態)や分解産物を紹介したサイトや仕組みを解説してくれているサイトにくわしい。シンプルな作りながらとてつもなく巧妙なものである。
ふつうの水溶性の球状タンパク質では、ごく大ざっぱに言ってしまえば親水的なアミノ酸が表面に出やすく、内部は疎水的(水に溶けにくい)アミノ酸が多くなっていて、このおもちゃが模式的にはぴったりである。
ただ、この親水ー疎水の関係が一瞬で逆転してしまうという現象はタンパク質の世界ではさすがに見あたらないように思う。プリオンでの構造転換は少し似ているようにも最初は思ったが、このおもちゃは「自発的?」に構造転換するという点で、構造転換を促す相手(異常型構造)を必要とするプリオンとはちがうのだ。
このおもちゃのように「自発的」に瞬時に構造転換するタンパク質があるとどうなるだろう。表面が親水から疎水に変わるのだから水溶液中では不安定ですぐに凝集を作っておしまい、ということになるだろう。
2008/11/06
GFP
緑に光るタンパク質、GFPが今年度のノーベル賞の対象になって早一ヶ月が過ぎた。そう、アメリカ在住の下村博士がオワンクラゲから発見した自ら蛍光を発するタンパク質である。
2008/11/02
ノットパズル
春にアメリカに行ったときに買ったパズルを出していなかった。写真のようにいくつかのパーツが組み上がったもので、「KNOT(結び目)」ということである。


2008/10/26
ニュースレター第2号発行
科研費特定領域「タンパク質の社会」ニュースレター第2号を10月はじめに発行しました。
2008/10/25
岩波新書「タンパク質の一生」
ぼくの研究テーマを大きく言えば「タンパク質の一生」を支える分子シャペロンを研究する、というものである。プリオンの研究も、「タンパク質の一生」の中の困った一面という捉え方に入ってくるものである。
この「タンパク質の一生」という概念をわかりやすく解説するための研究者向けの書籍はそれなりに出ていて、ぼくも何編か書いたりしているが、研究に縁があまりないような一般の読者に向けてのものはこれまでなかった。そこに出たのが紹介するこの本である。永田和宏さんが書いた力作だ。
以下は、「タンパク質の社会」ニュースレターにぼくが書いた書評である(若干改変)。
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朝日新聞の日曜の書評欄を毎週楽しみにしているが、先日紙面を開いて永田さんの写真が目の前に現れて驚いた。この岩波新書が「著者に会いたい」というコーナーで取り上げられていたのだ。
かように本書の刊行は、研究にそれほどなじみのない一般の方々への「タンパク質の一生」の浸透に大きく役立つに違いない。生命科学、タンパク質に興味のある人たちだけにとどまらず、歌人としても知られる著者が執筆したということで手に取る人も多いようである。実際、朝日歌壇において、本書を引用した短歌が(著者以外の選者により)採択されていた。
内容は、このニュースレターを読んでいる多くの方にはなじみの深いものであろう。章立てを見ると、「タンパク質の住む世界」、「誕生」、「成長」、「輸送」、「輪廻転生」、「タンパク質の品質管理」、と、本領域で必須の項目がもれなく並んでいる。ただ、最初の2つの章は、生命科学にふだん触れていない方のために、「一生」の一部という形式を取りながら、実際には、分子生物学、細胞生物学の基本についてコンパクトにまとめた内容にもなっている。
「タンパク質の一生」分野の全体像を簡単に知りたい分野外の研究者にもうってつけの本であるが、当該分野のプロでも読む価値は十二分にある。研究者向けの本にはふつうは書かない著者の主観的な記述が随所に読めるのがうれしい。また、縦書きが新鮮だ。長らくGroELの研究に携わっているが、縦書きで書かれる「 G r o E L 」の作用機構を読むと新たな気持ちになった。
評者自身のことで言うと、学部生の講義などで自分の研究についての参考文献を紹介したいと思っても、なかなか適切なものがなかったが(関連書籍はいくつもあるが、数千円もする本は気が引ける)、岩波新書ということで気軽に推薦できるのはありがたい。
さらに言えば、「タンパク質の一生」の研究の拡がりを反映して、本書の内容は実に多岐にわたる。当然、用語も多数出てくるのだが、本書には用語集のようなものや索引はない。そのような際には、「キーワード:蛋白質の一生」を手元に置いていただければ完璧であろう(と、「気が引ける」方の編者の一人として宣伝・・・)。
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これを読んでいる学部生やこの分野に興味のある研究者の方などはぜひどうぞ。
ついでに、amazon.comでのこの本へのレビューや「この商品を買った人はこんな商品も買っています」もなかなかおもしろいです(こちら)。











