2008/05/28

「一つくらいは究めてみる」

 先日、と言ってももう数ヶ月も前だが、ずいぶん久しぶりに母校の東工大すずかけ台キャンパスに行って、話をしてきた。さまざまな道に進んでいる生命理工学部の卒業生を呼んでの「ようこそ先輩」イベント(G-COE主催)に呼ばれたのだ。正確に言えば、ぼくは生命理工学部出身ではなく、その前身の専攻の修了なのだが、まぁそれでもいいよ、ということで話をさせてもらった。

 大学院生くらいの若い人たちに、何かメッセージを、という主催者側の要望なので、研究の話だけをするわけにはいかない。さて、どうしたものかと、ずいぶんと悩んだが、自分の大学院時代のことを思いだして、「一つくらいは究めてみる」というタイトルで話すことにした。慣れない内容を話すのは得意ではないが、会場には知った顔も多く、リラックスして好き勝手話したと思う。

 話の概要を東工大生命理工の同窓会ニュースレターに書いたので、興味のある方は以下からダウンロードしてみてください。p6です。ちなみに、そこに提供した写真は、もう20年近くも前、ぼくが修士のころのスナップ写真です。

東工大生命理工サイト 同窓会ニュースレターVol. 10 (pdf, 2.8MB)

2008/05/14

ニュースレターを発行


 特定領域研究「タンパク質の社会」のニュースレターの編集を終えて3月半ばに発行した。冊子名は「Protein Community」である。
 ホッとしたのもつかの間、年2号発行予定なので、もう次の原稿を集めなければならない・・・。

 編集長として、原稿を依頼してみなさんに書いていただくのはもちろんのこと、空スペースを埋めるためにかなり多量にコラムやエッセイを書いた。研究室の学生にもずいぶんと助けてもらった(文字通り、からだを張って協力してくれた学生も・・・)。

 今思うに、書いたコラム記事の多くは本来ならこのブログに載せるようなものばかりだなぁ。

 ということで思ったのが、このブログをもう少ししっかり書いていって、その中から適当にピックアップしてニュースレターのコラム欄に載せるのが楽でいいのでは、というものである。このブログの読者とニュースレターの発送リストはほとんどかぶっていない(というか、このブログの読者ってどのくらいなんだ?)ので、まぁだいじょうぶだろう。

 ニュースレターはウェブサイトにpdfで置いてあるが、今号よりパスワード保護をかけることになったので気軽には見られないようになっている(こっそりと楽しんできた方々、すみません)。pdfはあくまでも補助的な媒体というスタンスである。なかなかリクエストできないものかもしれないが、一度発送リストに載れば定期購読可能(無料)なので、気軽にメイルで申し込んでください。

 こちらとしては、冊子の質感とともに、お茶でも片手にリラックスしながら読んでほしいと願っています。

2008/05/05

The Waltz of the Polypeptides

 アメリカのCold Spring Harborに来ている。2年に一回のシャペロンのミーティングで発表するためだ。発表は今までにない長い時間をもらえて、光栄なことであった。それはともかく、今回おもしろいオブジェができていた。それがこのタイトルで、リボソームで蛋白質ができていくところを模しているアートだ。思わず写真を何枚も撮ってしまった。横に見える長いヒモのようなものがmRNA、ぽつぽつと見える大きな物体がリボソームである。リボソームの大きいサブユニットと小さいのが合わさっている。


 mRNAにはリボソームが何個もくっついており、少しずつポリペプチドを合成していくのを見せている。左の写真はだいぶ合成が進んだ後を示していて、リボソームから出てきたポリペプチドがフォールディングしているようだ(出てくる位置は見慣れている絵とはちがうような気もするが)。最後にはていねいにもリボソームが解離して、ちょっと離れた位置に「蛋白質」の立体構造のオブジェがある、という流れだ(はたしてこの蛋白質はなんの立体構造なんでしょうか)。


 Cold Spring Harborはワトソン博士がいることでも有名な研究所であり、会場のある建物にはかの有名なDNAダブルヘリックスのオブジェが堂々と置かれている。ここで紹介した蛋白質合成のオブジェは、会場を出てキャビンと呼ばれる宿泊施設へ行く途中にひっそりと置かれており、ミーティングに来た人でも宿泊施設は分散しているので気付かない人も多いだろう。蛋白屋としては、ぜひ目立つところに置いてほしかったなぁ・・・。